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前ページ次ページ炎神戦隊ゴーオンジャー BUNBUN!BANBAN!クロスオーBANG!! 次回予告 「ガンパードだ。とんでもねえ奴がマジックワールドにやってきた。その名はヒラメキメデス。打つ手はあるのか」 「ごきげんよう、人間ども」 「GP-11 合流ヒラメキ ――GO ON!!」 屋上で原稿用紙とにらめっこで新たな紙面の文章を思案しているリンテンバンキ。 「今度は……『CO2増加目標発表 1年で2000%増加』ってとこかな?」 「見つけたわよ!」 「追いかけられろ、蛮々。新聞! 世界で一等愉快な新聞~」 「あんたが新聞を使ってみんなを操ってたのね!」 「そうだよ。私が書く新聞記事に仕込まれた催眠効果で人間達は何でも信じ込んじゃうんだよ」 「許せない!」 助走して跳躍、リンテンバンキに飛び蹴りを浴びせるキュルケ。 「気付いたってあんた1人じゃ私は倒せないわよ」 リンテンバンキとの孤軍奮闘空しくキュルケは地面に倒れた。 「押し紙カッター!」 ――GP-11 合流ヒラメキ―― ヘルガイユ宮殿では前倒ししての祝杯。 『乾杯!!』 「リンテンバンキの新聞に騙されてキュルケ達は散り散りバラバラなり」 「1人ずつなら恐れるに足らぬぞよ」 「ケガレシア達の言ってたゴーオンジャーが来でもしないとどうにもならないわね」 「この世界はわらわ達が汚しつくしてやるでおじゃる」 「押し紙カッター!」 悲鳴を上げて屋上から転落するキュルケ。 するとどこから来たのか衛兵隊が、 「キュルケ・アウグスタ・フレデリカ・フォン・アンハルツ・ツェルプシュトー、逮捕する!」 とキュルケに群がってきた。 「やめなさい! 放して!」 「新聞で報じられたぞ! お前は死刑だ!」 「ええいっ!」 「ガイアークの邪魔者の最後をリアルタイムの号外でマジックワールド中に報じるよ! ウガッツ、写真写真!」 ウガッツにその様子を写真撮影させるリンテンバンキ。 ヴェルサイテイル宮殿では、 「土くれのフーケが逮捕されたって?」 執務中のタバサが顔を上げると「蛮々。新聞」があり、1面に衛兵隊に取り押さえられたキュルケの写真が掲載されていた。 『窃盗容疑で指名手配中のキュルケ・アウグスタ・フレデリカ・フォン・アンハルツ・ツェルプシュトー 逮捕の瞬間!』 それを手にしたガリア官僚達も死刑死刑と大はしゃぎしている。 「……キュルケ……」 ビプリーベ伯邸でも、 「土くれのフーケ、当然の報いだわ」 腰まで伸ばした青髪をツインテールにしている少女の声に、ギーシュも新聞を見つめる。 押し紙カッターの前に倒れたキュルケが見据えるのは、リンテンバンキとカメラを構えたウガッツ達だった。 「往生際が悪いわね。あんたはもうおしまいよ」 「黙って! こんな事で私達は負けたりしないわ!」 「あんたは仲間達に見捨てられてここで1人寂しく死ぬのよ。押し紙カッター!」 キュルケは満身創痍で倒れたがすぐに、 「私は2人を信じてる! 私が倒れても、タバサの秘めた情熱はあんた達を許さない!」 口の中に溜まった血を吐き出して立ち上がり訴えるキュルケ。 「………」 「うるさいうるさいうるさい!」 「ギーシュの愛の力に、あんた達は絶対勝てない!」 「………」 「2人は必ず目を覚ましてあんた達を倒す!」 押し紙カッターを何度も受けても立ち上がるキュルケの言葉と姿が、新聞記事内のコメントと掲載写真を通して2人に伝わる。 「この世界は絶対にあんた達の思い通りにはならない!」 「言いたい事はそれだけ? 新聞紙より薄く切り刻まれてあの世に行きなよ! これでおしまい!」 そう言ってリンテンバンキがとどめを刺そうとした時、 「きゃあっ!」 リンテンバンキ・ウガッツに氷つぶてと青銅のナイフの雨が命中、爆発するウガッツ。 キュルケが振り向くと、そこには油断無くリンテンバンキに杖を向けるタバサと笑ってキュルケに手を振るギーシュの姿が。 「みんな……」 「あんた達は!」 「……よくもインチキニュースで騙してくれた……」 「いやあ、かなりハッピーだったよ。……でもこんな悪巧みはごめんだね」 「そんな……、あんた達は私に踊らされてたはずなのに……」 呆然とするリンテンバンキ。 「……キュルケの叫びが私達の心に火を点けた……おかげで目が覚めた……」 「シルフィ達も催眠にかかってたみたいなのね。ごめんなのね、フレイム」 ――キュルルル (まったく……。たるみすぎです) 「3人揃った私達は絶対無敵、元気爆発よ!」 「くっそー、押し紙カッター!」 押し紙カッターを前転・跳躍で素早く回避する3人。 「ファイヤーボール、ゼロ距離射撃!」 前転で接近したキュルケが突きつけた杖から放たれた火球が即座に爆発! 「きゃああっ!」 そこにすかさず、 「……はっ……」 「はあっ!」 跳躍したギーシュ・タバサの氷の刃を纏った杖と錬金で作成した長剣による斬撃が決まる! 「うわあああっ!」 地面に倒れのたうち回るリンテンバンキの姿を好機と見て、キュルケは2人に声をかける。 「とどめよ!」 キュルケを中心に3人は杖を重ね合わせていく。 『フレイムボール!!』 ――キュルキュル! キュルル! (キュルキュル! ターゲットは外しません!) 火球という概念を超えた高熱を持つ真紅の光弾がリンテンバンキに炸裂した!! 「自分の寿命が100日縮まったー!!」 辞世の句を残して爆発四散するリンテンバンキ。 「これで催眠にかけられてた人達も目が覚めるわね」 街に平和が戻り、町の人々が滅茶苦茶に出したゴミ袋を片付けている。 魔法学院の中庭では、疲労困憊という様子でテーブルに突っ伏すキュルケにギーシュが紅茶を入れていた。 「今日はキュルケ様々って感じだね」 「……感激……キュルケが私達の事……あんな風に思ってくれてた……」 タバサも後方からキュルケの肩を揉む。 「あれはあんた達が目を覚まさないから……」 「……照れない照れない……」 「照れてないわよ!」 「でもタバサはもっと王女やってたかったんじゃないのか?」 「……そういうギーシュこそ……可愛い妹を婚約者にしたかったはず……」 「僕は自分の魅力でハーレムを作るさ。ルイズの使い魔の事が解決したらね」 その夜……。 マチルダは目の前の男に焦りを浮かべる以外不可能だった。 隠し持っていた杖を含む3本の杖を取り上げられて収監された牢獄から、記す事すらはばかられる場所に隠していた4本目を使用して脱走した自分の前に出現した人影。 突然現れて協力を強要してくる男に仮面を被っての交渉、怪しい以外の何でもない。 「気に入らないね」 「……協力するのかと聞いているのだが」 「あんたのそれは脅迫って言うのさ」 「貴様……」 「はっきり言ったらどうなんだい? 『死にたくなければ協力しろ』ってさ!」 「……最後だ。協力するか死ぬか選べ」 「お断りだよ、外道の同類が」 「では残念だが貴様には死んでもらおう」 「ママに習わなかったのかい? 初対面の人間に貴様とか言っちゃいけません、って」 「貴様!」 「女性には優しくって習わなかった? 今のあんた図星をつかれてあせってるお子様みたいだよ!」 「盗賊ごときが! 死ね!」 視認も難しい神速で迫る風をまとった杖がマチルダの胸を……貫けなかった。 三角形の光弾が2人の間に割って入り、即座に2人は飛びのいた。 「……おやおや、断られたら殺すですか……。計算のできない方はいけませんね。私でしたらもっと上手く立ち回りますよ?」 そう言いながら路地裏の闇から出現したのは、全身を鎧と鉄仮面で固めた男だった。 「貴様、何者だ!?」 「生憎ですが、今名乗るわけにはいきませんね。あなたのような人間の前では」 「ならば貴様も死ね!」 「黙って殺されるわけにはいきませんね。直角二等辺三角形斬り」 鉄仮面が振るった剣から放たれた三角形の光弾が直撃、仮面の男は堪らず吹っ飛んだ。 「くっ、覚えていろ!」 仮面の男はそう捨て台詞を残して逃走した。 「あんた何者?」 「害地副大臣ヒラメキメデス」 「さっきの男の同類かしら?」 「革命? ナンセンスですね。王家打倒? 我々の前に王家など無意味。聖地回復? エルフも聖地も世界ごと汚染するだけですよ」 「王家どころか世界を敵に回す気……? そんなとんでもない目的を持ったどこぞの副大臣様が、こそ泥風情に何の用かしら?」 「私達は優秀な協力者1人でも多く必要としています。協力していただけないものでしょうか? もちろん断られてもあなたをどうこうする気はありません」 「……まあ助けられた恩もあるしね。わかったわ、協力する。ところであんた達の組織とやらは何て言うのかしら?」 「蛮機族ガイアーク」 蛮機獣リンテンバンキ 【分類】害地目 【作製者】害地大臣ヨゴシュタイン 【作製モデル】輪転機 【口癖】「シーンブーン」「ゴーガーイ」 【身長】190cm 【体重】190kg 「輪転機」をモデルとして製造された女性型の蛮機獣です。 輪転機とは、主に新聞や大量部数を発行する雑誌の印刷に使われる道具です。 リンテンバンキは、胴体が強力な輪転機になっています。 捏造した嘘の新聞記事を掲載した「蛮々。新聞」を印刷して、それがどんなに荒唐無稽な内容でも読んだ者に信じ込ませる事ができます。 注1)リンテンバンキは、アンテナバンキのデータを応用してテレビの無いマジックワールド用に製造された蛮機獣です。 注2)アンテナバンキ同様裏目に出る恐れがありますので、現実を号外で報道させない方がいいでしょう。 前ページ次ページ炎神戦隊ゴーオンジャー BUNBUN!BANBAN!クロスオーBANG!!
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前ページ次ページ炎神戦隊ゴーオンジャー BUNBUN!BANBAN!クロスオーBANG!! 次回予告 「バスオンでい! 不思議な若者に出会った嬢ちゃん達。レコン・キスタに狙われてるとあっちゃ力にならなきゃな、兄弟」 「本気でこの私をやる気か!?」 「GP-13 閃光シシャク ――GO ON!!」 朝靄立ち込める夜明け前。 ルイズ・ケガレシアは馬に鞍を付けて旅支度をしていた。ヨゴシュタイン・キタネイダスは蛮ドーマで既に出発させている。 「いい、ケガレシア? 私達はアンリエッタ姫殿下からの密命遂行のためにまず、出国してアルビオンに行くのよ」 「確か魔法学院から北西に約400リーグ地点にあるラ・ロシェールからの、アルビオン行き定期船に乗るでおじゃったな」 「どうやら準備万端のようだね、ルイズ。しかし馬では次のスヴェルの夜までに町に到着できるか微妙だな」 突然朝靄の中から男の声がした。 「何者でおじゃる!!」 聞き覚えの無い男の声を聞いたケガレシアが、背中に背負ったデルフリンガー(長剣形態)に手を掛ける。 その言葉に応えるようにグリフォンを連れた1人の長身の青年が姿を現した。ルイズ達同様マントを羽織って立派な羽根付き帽子を被っている。 「僕は敵じゃない。姫殿下よりこの任務で君達に同行する事を命じられたんだ。剣を収めてくれ、ミス」 男は帽子取ると一礼する。 「女王陛下のグリフォン隊。隊長のワルド子爵だ」 ワルドと名乗った男はグリフィンの背から颯爽と降りると、ルイズに接近してすっと胸に抱き上げた。 「久しぶりだ、僕の小さなルイズ! 姫殿下のご依頼に感謝しなければならないな。婚約者と再会できる機会を与えてくれたのだから」 「そんな、昔の話ですわ」 「そうだ、そこの彼女も紹介してもらおうか」 「ええ。彼女はケガレシア、私の使い魔であり同志と言える存在です」 ――GP-13 閃光シシャク―― 「ここがラ・ロシェールでおじゃるか……」 ワルドのグリフォンに相乗りする事2時間、ルイズ・ケガレシア・ワルドはラ・ロシェールに到着した。 しばらくして桟橋へ乗船の交渉に言っていたワルドズが帰って来て、困ったように言った。 「アルビオンに渡る船は明後日にならないと出ないそうだ」 「もう、急ぎの任務なのに……」 ルイズも口を尖らせる。 「なぜ明後日にならないと船が出ないでおじゃるか?」 「月が重なるスヴェルの夜の翌日の朝、アルビオンが最もラ・ロシェールに近付くんだ。とにかく今夜はもう寝よう。部屋を取った」 ワルドは鍵束をテーブルの上に置いた。 「僕とルイズは相部屋、ミス・ケガレシアが1人部屋だ。婚約者だから当然だろう」 「結構です」 「え?」 「私達まだ結婚式も済ませていないじゃありませんか」 「確かにそうだけれど……」 「それにケガレシア達といろいろ打ち合わせたい事もあるので」 「ここがラ・ロシェールね……」 ルイズ達に遅れる事約半日、キュルケ達もシルフィードでラ・ロシェールに到着していた。 「こんな所にルイズ達は何しに来たんだろうな?」 「……アルビオン……」 「そうか、明後日の夜はスヴェルの夜だから……」 「それじゃ、問題はルイズ達がアルビオンで何をしようとしてるかって事ね」 「……情報が足りなすぎ……」 『うーん……』 3人はしばらく考え込んだがまったく想像がつかなかった。 とにかく今日のところは日没前に宿を探そうという事になり、3人は宿屋が立ち並ぶ区画に向かった。 「ところであちこちの屋台で売ってるあれは何だい?」 ふとギーシュが魚型の焼き菓子を売っている露店に目を止めて、キュルケに尋ねた。 「……あれはベイクドティラピア……」 「小麦粉で作った皮に甘く煮た豆を詰めた焼き菓子よ。ラ・ロシェール名物なの」 とその時、 「食い逃げだーっ!」 「ウグーッ!」 露店の1つの主人らしい男の怒声の後に、少女らしい甲高い声が上がった。 「食い逃げ?」 驚いて声のした方向に振り向いた3人の目の前を、ベイクドティラピアの詰まった紙袋を抱えた少女が駆け抜け、少々遅れて露天の主人らしい中年男性が少女を追っていった。 「……あの子……」 「捕まえないと!」 慌てて少女の後を追う3人。 「待ちなさーい!」 「……こら……」 「ちょっと君!」 「ウグーッ!?」 露店の主人に続いてキュルケ達も追跡してきた事に気付いた少女は、慌てて裏路地に入って4人を撒こうとする。 少女を追って裏路地に入ったキュルケ達が右折左折を繰り返して何度目かの角を曲がった直後、 「危ないっ!」 突然建物の屋根から10体近いウガッツによる急降下攻撃を受け、キュルケはギーシュに襟首を捕まれ引き戻された。 「ウガッツ!?」 「……こんな所にまで現れるなんて……」 「ミスタ・コルベールが睨んでいた通りだな。みんな、いくぞ!」 「ええ!」 「……わかった……」 ギーシュの言葉に答え、キュルケ・タバサも魔法と体術を駆使してウガッツ達に立ち向かう。 「えい!」 「……ウィンディ・アイシクル……」 「はあっ!」 ウガッツ達は瞬く間にその数を半分以下にまで減らされ、慌てて敗走する。 「待て!」 「……待って……」 追撃をかけようとするギーシュだったがタバサに止められた。その直後、 ――ドッカアアン! ギーシュの目の前で石畳の道が大爆発した。タバサが止めていなければ確実に巻き込まれていただろう。 「砲撃!?」 「……また来る……」 「逃げろ!」 3人はなおも続く砲撃をかいくぐりつつ急いで来た道を引き返し、建物が密集している区域にある廃屋の1つに逃げ込んだ。 そこでようやく襲撃者も3人を見失ったようで爆音が止んだ。 「……危なかった……」 「さっきのウガッツは砲撃のための足止めだったのね……」 「しかしいったいどこから砲撃してきたんだ? 見たところ空船も浮かんでいなかったし発射音も聞こえなかった」 「……だとしたら相当遠くから……」 ラ・ロシェールを見下ろす山頂付近、1体の蛮機獣が悔しそうな表情で呟いていた。 「逃げられちゃった……」 しばらく町を見渡してキュルケ達の姿を探していたが、 「とりあえずあの3人が来た事だけでも報告しとかないと」 そう言い残して立ち去っていった。 「そう、キュルケ達も来てたのね」 ラ・ロシェールの最高級宿屋「女神の杵亭」。その一室でルイズ達は蛮機獣からキュルケ達に関する報告を受けていた。 『―――』 「ええ、攻撃するしないは任せるわ。大切なのはキュルケ達にこちらの狙いを気付かれない事よ。わかった?」 『―――』 「それじゃキュルケ達の監視に戻って」 『―――』 それを最後に蛮機獣の声は途絶えた。 ――コンコン 丁度その時何者かが部屋の扉を叩いた。 「どうぞ……あら、ワルド子爵」 「ルイズ、ミス・ケガレシアが呼んでいたよ。君と内密に打ち合わせをしたいそうだ」 「わかったわ」 「……ところでルイズ、そのミス・ケガレシアの事なんだが……」 廊下に出ようとするルイズをワルドは呼び止め、 「どうしたんですか、子爵?」 「ゴーレムとも鎧騎士ともつかない怪しい連中と何やら話をしていたのだが……。注意した方がいいかもしれない」 「それなら心配要りません。ヨゴシュタインとキタネイダス、ケガレシアと同じ私の使い魔で仲間です」 「ヨゴシュタインにキタネイダス? しかしさっきはもう1人いたはずだが」 「……もう1人? それではケガレシアに聞いておきますね」 ルイズはワルドから伝えられたケガレシア達との合流場所に赴いた。 「ルイズ! 丁度よかったでおじゃる」 「心強い助っ人が到着したぞよ」 「心強い助っ人?」 「来るなり、ヒラメキメデス」 ヨゴシュタインに促されて、害地副大臣・ヒラメキメデスがルイズの前に姿を現す。 「初めましてミス・ルイズ。私、ヨゴシュタイン様の下で害地副大臣を務めるヒラメキメデスと申します」 「初めまして、ヒラメキメデス」 「それだけではないなり。ヒラメキメデスがマジックワールドに到着早々、頼りになりそうなメイジをスカウトしてきたなり」 「え?」 「こちらです、ミス・マチルダ」 その言葉に物陰から現れたのは……、 「ミス・ヴァリエール!?」 「ミス・ロングビル!?」 「なぜフーケがここにいるでおじゃる!?」 そう、彼女こそかつて「土くれのフーケ」としてルイズ達の前に立ちはだかった、元トリステイン魔法学院教師・ロングビルだった。 「ほう……、するとミス・マチルダを捕らえた魔法学院の生徒というのは……」 「……ミス・ヴァリエールよ」 「それはさておきミス・ロングビル、お主を襲ったという仮面の男に関して詳しい話が聞きたいなり」 「……って言っても、あんまりこっちも詳しい話は聞かされてないんだけどね。ただとんでもない事を企んでるのは確かだよ。アルビオンを手始めに王家を打倒してハルケギニアを統一、一枚岩になって聖地を奪還するんだとか……」 「……また大きく出たでおじゃるな」 「それで、その連中の名は何だぞよ?」 「レコン・キスタ」 前ページ次ページ炎神戦隊ゴーオンジャー BUNBUN!BANBAN!クロスオーBANG!!
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前ページ次ページ炎神戦隊ゴーオンジャー BUNBUN!BANBAN!クロスオーBANG!! 次回予告 「スピードルだ! さあみんなでフーケ退治だ……って、ミス・ロングビルがいねえ!? 『何とかしないと』って何とかなるのか? GP-09 急襲ゴーレム ――GO ON!!」 出発30分前、ヘルガイユ宮殿広間。 対巨大ゴーレムの切り札たる第3の蛮機獣が誕生しようとしていた。 「ドリドリクリクリドリクリクリ、ドリルバンキ!!」 その言葉と共に出現したのは、頭・両手・胸・股間・膝等全身にドリルを装着した蛮機獣。 「ドリルバンキ、我らはこれより『土くれのフーケ』討伐に向かうなり。お前はいざという時の切り札なり」 「かしこまり。しかし……」 「どうしたの?」 自分の姿を映すモニターを見つめるドリルバンキに怪訝な表情でルイズが問いかけると、ドリルバンキは自分の顔面を指差し、 「鼻がドリルじゃないというのは私の趣味ではありません。付けてください」 「……鼻ドリルなど飾りなり。偉くない者にはそれがわからんなり!」 ――GP-09 急襲ゴーレム―― 3時間後、8人はロングビルを案内役に出発した。 蛮ドーマならあっという間なのだが、ヨゴシュタインが「可能な限り手札は見せたくない」と言った事、さらには定員オーバーな事もあり馬車での移動となった。 馬車といっても襲撃に備えて屋根無しの荷馬車だ。手綱を握るのはミス・ロングビル。 「ミス・ロングビル、手綱なんて付き人にやらせればいいじゃないですか」 「いいのですよ。私は貴族の名を無くした者ですから」 「あら、オールド・オスマンは貴族や平民だという事にあまりこだわらないのね」 「するとミス・ロングビルもメイジなりか?」 そこに荷台最後部に座っていた3人組の中で、ヨゴシュタインがロングビルに視線を向けて尋ねた。 「ええ。とはいえたいした実力ではありませんし、戦いは苦手なのですけどね」 「じゃあいざゴーレムが出てきたら後ろに下がっていてください、ミス・ロングビル」 「ルイズ、昨日のような無茶はやめるでおじゃるよ?」 「わかってるわよ、ケガレシア。昨日はちょっと頭に血が上ってしまっただけよ」 森の入り口で馬車を降りてしばらく歩き続けると、一行は開けた場所に出た。森の中にできた広場という感じの場所でなかなかの広さだ。 中央やや奥にある廃屋が目的地だろう。先頭のロングビルが木の陰に隠れながら振り返り、 「あそこのようですね」 と告げた。 全員廃屋を確認し見える程度に距離を置くと作戦会議を開始した。 廃屋内部にフーケがいれば奇襲すればすむが、外にいた場合無闇に攻撃してはフーケが逃走する危険性がある。建物に攻撃して「ルサールカの鎧」を破壊してしまっては無意味だ。 最終的にタバサ提案の「囮兼偵察が小屋に接近し中を確認、フーケがいれば挑発で外におびき出し集中砲火」という作戦が取られる事になった。小屋の中に巨大ゴーレムを作り出すほどの土があるとは思えないので、出てきてゴーレムを作るまでの隙を狙うというわけだ。 囮兼偵察役はルイズ・ケガレシアの2人。 静かに廃屋内部を確認するが誰もいなかった。床に大きな何かが置かれているのが見えるだけだ。 地下室への隠し通路でもない限り隠れ場所があるようにも見えないので、とりあえず全員呼び寄せる。 「……罠は無い……」 タバサが扉に向かい杖を振って言った。 内部に入って遺留品を探そうという事になって、ルイズ・ケガレシア・キュルケ・タバサ・ギーシュが中に入り、ヨゴシュタイン・キタネイダスが見張りとして外に残リ、コルベール・ロングビルは周辺の偵察と役割を分担した。 「え、ちょっと待って。これって……」 「……『ルサールカの鎧』……」 どうやら先程覗き込んだ時によく見えなかった何かが、「ルサールカの鎧」だったらしい。2人に近付いて覗き込むとケガレシアも、 「こいつは……。こいつが『ルサールカの鎧』でおじゃるか?」 それを見て思わず怪訝な様子で問いかけた。それは確かに鎧にも見えるだろうが……。 「ケガレシア、何か知ってるの?」 ルイズが尋ねたその時、 ――ズドオオン! 猛烈な地響きに屋外に出ると、小屋の前に高さ30メイルもあるゴーレムがそびえ立っていた。 「うわあ!? 何だ!? どうした!?」 「フーケよ!!」 「ついにお出ましでおじゃるな!!」 「ミスタ・コルベールとミス・ロングビルは無事かしら?」 タバサが真っ先に反応し素早く呪文を詠唱、巨大な竜巻でゴーレムを攻撃するがびくともしない。 次にキュルケが胸に挿した杖を引き抜いて呪文を詠唱する。杖から伸びた炎がゴーレムの上半身を包み込むが、ゴーレムの腕の一振りで全て消し飛んだ。 「……無理……」 走ってゴーレムから離れる5人の元に、キタネイダス・ヨゴシュタインが駆けつける。 「ルイズ、出発前に準備しておいた切り札を出す時なり」 「ええ!」 「あいつを出すでおじゃるな」 「待ってましただ!」 「出番なり、ドリルバンキ!」 ヨゴシュタインの声に応えるかのように7人に接近するゴーレムの間の地面が盛り上がり、 「かしこまり!!」 ドリルバンキはその声と共に飛び出し……、 ――ズウウウン…… ……あっさりゴーレムに踏み潰された。 『………』 「あら、負けちゃったわね」 「大丈夫ぞよ、元々等身大の蛮機獣であのゴーレムの相手になるとはヨゴシュタインも思っていなかったぞよ」 「……見るなり! これがドリルバンキの切り札たる所以なり! ビックリウムエナジー発動!!」 次の瞬間、周囲一帯が激しい地震に揺さぶられる。 「な、何!? 何がおこってるのよ!?」 「落ち着けキュルケ。僕にもはっきりわからないが……、ヨゴシュタインが何かした事は確かだ」 そしてゴーレムが足元をすくわれたかのように大きくのけぞったかと思うと、 「サンギョーカクメーイ!!」 なんと踏み潰されたはずのドリルバンキがゴーレムと遜色無いほどに巨大化して、復活を遂げたのだ。 「弾ける……、力が弾ける……」 「えっ!? ミスタ、急に本気モードじゃないの」 「……下がらないと……」 そう告げて駆け出したタバサを先頭とする一行が広場を囲む森に入った時には、既に巨大ドリルバンキ・ゴーレムの戦端は開かれていた。 「………」 「ふん! 痛くも痒くもないわ!」 ゴーレムが渾身の力を込めて放った拳は胸のドリルにあっさり砕かれた。 「今度はこちらの番だ!」 「………!!」 お返しとばかりくり出したドリルバンキの右腕のドリルが、ゴーレムの胸に風穴を開ける。 再生はしているものの流石に大穴だけあって時間がかかっているようだ。 「状況は不利か……。さて、どう出るか」 小屋のある広場から少々離れた場所にそびえる大木。その樹上からフーケはゴーレム・ドリルバンキ戦の様子を見ていた。 「ここまで厳しくなるとは予想外だね」 状況ははっきり言って不利の一言。ゴーレムの攻撃はことごとくドリルバンキのドリルに打ち砕かれ、逆にドリルバンキの攻撃は一撃でゴーレムの体に風穴を開ける。何か突破口は無いものか……。 そう考えていたフーケの視界にドリルバンキの中でただ1ヶ所、ドリルの無い部分が入った。 「あそこを狙いな」 その声に答えるかのように、体勢を立て直したゴーレムはドリルバンキの顔面に拳を叩き込んだ。 「ぐわあっ!」 大きくよろめくドリルバンキ。すかさず追撃をかけようとするゴーレム。 間一髪体勢を立て直して、全身のドリルを駆使しゴーレムの体を削り取っていく。 2体の巨人の戦闘は防御を無視した殴り合いと化していた。 そしてそれにもやがて決着の時が訪れる。 数度に渡る殴り合いの末、ドリルバンキは両腕のドリルを使いゴーレムの胴体に今までに無い大穴を開けた。そのまま崩壊するゴーレム。 「やったわ!」 思わず歓声を上げたキュルケ。 しかしドリルバンキの方もそこまでが限界だったようで2~3歩大きくよろめき、 「だから顔にもドリルを付けてくださいと言ったのです……」 そう言い残して大爆発してしまった。 『………』 「……共倒れ……」 「それより土くれのフーケはどこだ?」 「……それに、ミスタ・コルベールとミス・ロングビルは?」 ギーシュの言葉にルイズもそれに気付いた瞬間、一行は自分達の足が動かなくなっているのに気付いた。 いつの間にか足元の地面が異常に盛り上がり足に絡まっている。 「さて、そのまま土に埋もれて死にたくなかったら、全員杖を投げ捨ててもらいましょうか。それとあなた達は得物を捨てなさい」 背後から声がした。振り返るとミス・ロングビルがそこにいた。 ルイズ達は仕方なく杖や得物を投げ捨てた。これでメイジは呪文を使う事ができないのだ。 「ミス・ロングビル……、まさか……?」 「そう、私が『土くれのフーケ』。さっきのあれは凄かったわね。私のゴーレムを打ち破るなんて。でも、こうなるとあなた達も手も足も出ないでしょう?」 フーケは、先程小屋に残してきた「ルサールカの鎧」を背負っている。 「どうして!?」 ルイズがそう怒鳴るとフーケは、 「そうね、説明してあげる。この『ルサールカの鎧』を盗んだはいいけど、使い方がわからなかったの。持っていても、使い方がわからないんじゃ宝の持ち腐れじゃない。そうでしょ? そこで魔法学院の者に教えてもらおうと思って一芝居売ったってわけ」 ルイズがフーケを睨みつけるが、フーケはそしらぬ顔で視線をケガレシアに向けた。 「そこのお嬢さん? この鎧について何か知ってそうだったわね? 教えてくれない?」 「教える事など何も無いでおじゃる」 「それに私達にはもう1人仲間がいるのよ」 「ふふふ、あのコッパゲならそこで足止めされてるわよ?」 「どこを見ているなり? もっと近くなり」 ヨゴシュタインの声に後方を振り返ったフーケだったが、先程の自分の言葉通り足を固められているコルベール以外には投げ捨てられた杖・鞭・大剣といった得物以外無かった。 「ハッタリはそのくらいにし――っ!」 向き直ったフーケがその言葉を最後まで言い終わらないうちに、彼女の腹部を激痛が襲った。 大剣形態のデルフリンガーが背後からフーケの腹を貫いたのだ。 フーケは命に別状は無かったものの、そのまま為す術も無く取り押さえられたのだった。 蛮機獣ドリルバンキ 【分類】害地目 【作成者】害地大臣ヨゴシュタイン 【作製モデル】ドリル 【口癖】「ドリドリクリクリ」 【身長】211cm(産業革命時31.7m) 【体重】236kg(産業革命時350t) 「ドリル」をモデルとして製造された蛮機獣です。 ドリルとは、土砂や岩石を掘り取って穴を開ける事のできる道具です。 ドリルバンキは、頭・両手・胸・股間・膝等、全身にドリルを持っています。 このドリルを利用して地中を掘り進む事で、危険な地盤沈下を招く地下空洞や地下水脈・溶岩等を都市に送り込むトンネルを簡単に作る事ができます。 注)ドリルを付けるよう請願したものの却下された顔面にはドリルがありませんのでご注意ください。 前ページ次ページ炎神戦隊ゴーオンジャー BUNBUN!BANBAN!クロスオーBANG!!
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前ページ次ページ炎神戦隊ゴーオンジャー BUNBUN!BANBAN!クロスオーBANG!! 次回予告 「ガンパードだ。レコン・キスタに包囲されたニューカッスル城。奇跡は起きるか」 「皇太子といっても、1人ではないのでしょう?」 「GP-15 最高ノキセキ ――GO ON!!」 「一時停止」 「一時停止、アイ・サー」 ウェールズの命令を掌帆手が復唱した。 ルイズ達一行は、ニューカッスルの王党派以外知らない秘密港へ向かう事になった。 軍艦・イーグル号は、敵に気付かれぬよう大陸の下に潜り込む航路を進む。 雲の中を進んで大陸の下に出ると周囲は真っ暗になった。大陸の影に入ったのだ。 しかしそこはアルビオン海軍、地形図を頼りに測量と魔法の照明のみでの航行は造作も無い事だ。座礁する事無く目的地に到着した。 そこはおそらくニューカッスル城港直下と思しき、黒々と開いた穴の下だった。 ウェールズの命令でイーグル号は裏帆を打つと闇の中て帆がたたまれ、性格に穴の真下で停船した。 「微速上昇」 「微速上昇、アイ・サー」 再度の命令で今度は穴に向かって上昇し、ルイズ達が最初に乗っていたマリー=セレスト号が後方に続く。 「殿下、まるで空賊ですな」 「子爵、空賊なのだよ我々は」 その手際に感心したかのように頷くワルドに、ウェールズは笑って答えた。 ――GP-15 最高ノキセキ―― タラップを降りて約1日ぶりに地面の感触を得る。 「これはまたたいした戦果ですな、殿下」 そこに接近してきた青年を過ぎただろうかという年のメイジが、ウェールズの労をねぎらう。彼の言う戦果とは、イーグル号後方にあるマリー=セレスト号の事だ。 「喜べパリー、硫黄だ!」 「硫黄ですと。火の秘薬ではありませんか。これで我々の名誉も守られるというものです」 メイジ・パリーとウェールズが話し合っている。彼らは負け戦を承知で戦うつもりのようだ。 その様子を横目にルイズはケガレシアに話しかける。 「負ける事がわかっているのに戦うの?」 「……そのようでおじゃるな」 「死ぬ……のよね?」 「おそらくは」 「どうして……?」 ケガレシアが口を開こうとした時、タイミングよくパリーが2人に話しかけてきた。 「これは大使殿。殿下の侍従を仰せつかっているパリーです。ようこそアルビオン王国へ。たいしたもてなしはできませんが、今夜はささやかな宴が催されますので是非ご出席ください」 ルイズ・ケガレシアは、ウェールズに付き従い城内の彼の居室に向かった。 城の最上階にあるウェールズの居室は、王子の部屋とは思えない質素な部屋だった。 ウェールズは椅子に腰掛けて、机の引き出しから宝石が散りばめられた小箱を取り出した。首からネックレスを外すとその先に付いていた鍵で小箱を開ける。 蓋の裏側にはアンリエッタの肖像画が描かれていた。 「宝箱でね」 小箱の中身は1通のボロボロになった手紙。数百回読まれてきただろう手紙を取り出してもう1度だけ読むと、手紙を丁寧にたたみ封筒に入れてルイズに手渡した。 「これが姫からいただいた手紙だ。この通り確かに返却した」 「ありがとうございます」 「明朝、非戦闘員を乗せたイーグル号がここを出発する。それに乗ってトリステインに帰りなさい」 その手紙を見つめていたルイズが、やがて決意の表情で口を開く。 「殿下、王党派軍に勝ち目は無いのでしょうか」 「我が軍は300、敵軍は5万。勝つ可能性など奇跡が起きてもありはしないさ。我々に可能な事は勇敢な死に様を連中に見せつけるだけの事だ」 「殿下の討ち死にされる様もその中には含まれるのですか」 「当然だ。私は真っ先に死ぬつもりだよ」 顔をしかめるケガレシアを視線で制しつつ、ルイズはウェールズに深々と頭を下げて続ける。 「殿下……、失礼をお許し下さい。 恐れながら申し上げたい事がございます」 「何なりと申してみよ」 「……この任務をわたくしに仰せつけられた際の姫様のご様子……、そして先程の小箱の内蓋の姫様の肖像手紙に接吻なさった際の殿下の物憂げなお顔……。もしや姫様とウェールズ皇太子殿下は……」 「恋仲であった、そう言いたいのかね?」 「そう想像致しました。ご無礼をお許しください。してみるとこの手紙の内容とやらは……」 「恋文だよ、君が想像している通りにね。彼女が始祖ブリミルの名において永久の愛を私に誓っている物だ。この手紙が白日の下に晒されれば、ゲルマニアの皇帝は重婚の罪を犯した姫との結婚を破棄し同盟は成立しなくなり、1国で貴族派に立ち向かわなくてはならなくなる」 「殿下……」 「亡命を進めるのならそれはできない。……そろそろパーティーの時間だ。君達は我らの王国が迎える最後の客、是非とも出席してほしい」 「……殿下、先程『奇跡でも起きなければ勝てない』と仰いましたね?」 「ラ・ヴァリエール嬢、私は君のその想いだけで――」 「皇太子と言っても、1人ではないのでしょう?」 「ラ・ヴァリエール嬢、確かに奇跡でも起きれば何とかなるだろう。だが……、起きないから奇跡と言うのだよ……。だから……」 「違います、殿下。奇跡は起きます。既に最高の奇跡が起きています」 「既に? 最高の奇跡?」 ルイズ・ケガレシアとその後方にいたヨゴシュタイン・キタネイダスが、ウェールズに対し一斉に一礼する。 「私達蛮機族ガイアーク、アルビオン王国の援軍として参戦致します!」 そんな5人の様子を物陰から見つめる人影4つ。 「なるほど、それがルイズ達の狙いだったのね」 「……アルビオン王党派と協力しての貴族派撃破……ルイズの使い魔達なら不可能じゃない……」 「確かにフーケの時に見せたあれを多数使えば出鼻をくじけるな。場合によってはそのまま総崩れになる」 「なるほど、そうすると君達の言っていた事は間違っていないかもしれないな。『あの件』に関しても少し急がないと……」 そう言って人影の1つ・ワルドは、残る3つの正体であるキュルケ・タバサ・ギーシュと出会った時の事を思い返していた。 時間は2日程遡って、キュルケ達が砲撃を受けた直後。 キュルケ達が廃屋の並ぶ区域を抜けようとしたその時、タバサは異常な気配に気付いた。 またも周辺に怪しい連中が陣を展開しているのだ。 「……2人とも……一気に走って……」 だが一瞬早く3人の足元に着弾する銃弾。つんのめって体勢を崩すタバサだが、瞬時にフライを詠唱しててふわりと着地する。 「何者!?」 慌てて全員足を止めて円陣を組む。 ずらりと並ぶ黒い人影。ウガッツの第2陣かチンピラか? 「き、奇襲だ!!」 あっという間に弾幕が3人めがけて殺到した。 だが次の瞬間、突如起こった竜巻が飛来する銃弾を飲み込みあさっての方向に弾き飛ばした。 そして矢が飛んできた屋根の上から、何人もの金属音に似た悲鳴が聞こえてきた。 続いて3人ががいる所とは違う方向に向けて、再度無数の銃弾が放たれる。 しかし銃弾は虚しく空を切り、代わりに多くの悲鳴が突如現れた小型の竜巻と共に上がった。 「おや? あれは風の魔法じゃないか」 とギーシュが呟いた。 自分達を攻撃してきたウガッツ達が、何とも無様に転落してくる。 そして上空に1体のグリフォンが姿を現す。 わけがわからず呆然とグリフォンを見上げていると、その理由とも言える青年がその背中から颯爽と飛び降りた。 ワルドだ。 「あなたは……、ワルド子爵!」 「君は確かグラモン家伯爵家四男の……」 「ギーシュです」 「いったいなぜこんな場所に?」 「実は……」 キュルケはワルドにルイズが以前から警戒していた彼女の使い魔達と共に学園から姿を消した事、彼女達の動向を探り必要とあれば阻止する密命を受けた事を説明した。 「何と……、ルイズの身にそんな事が起こっていたとはね……。よしわかった、君達に協力しよう」 「本当ですか!?」 「ああ、実は私も妃殿下から密命を受けた身でね。表向きは君達にその協力を頼んだ事にしよう。……とりあえず私が手配した宿に向かおう」 そう言って4人が歩き始めた時、 「ワフーッ!」 叫び声と共に、左腕に鋭い刃物を装備した蛮機獣が屋根の上から4人に飛びかかってきた。 「……また来た……」 慌てて戦闘体勢を整える4人だが、キュルケの回避より一瞬早く蛮機獣の左腕の刃物がキュルケを一刀両断にしようとする。 「ブレイド!」 しかしそれより一瞬早く、ワルドが光を帯びた杖で刃物を受け止めた。 「えーい、くどどん波ですう!」 「ライトニング・クラウド!」 次にワルドを標的として蛮機獣が左腕から破壊光線を発射するも、ほぼ同時にワルドが発射した電撃に相殺される。 この機を逃さず、キュルケ・タバサが蛮機獣めがけ得意の魔法を放つ。 「ファイヤーボール!」 「……アイスストーム……」 「わふーっ!?」 2人からの攻撃を受けた蛮機獣は、たまらず上半身を高速回転させて空の彼方に飛び去っていった。 「どうやら事態は急を要するようだ。早くここから離れないといつまた次の追っ手が来るかわからない」 4人は急ぎ大通りに向かって走っていくのだった。 それからしばらく後、どことも知れぬ闇の中。 「2度も仕掛けて成果を上げられないとは……」 背に注射器が描かれた椅子を半回転させて、スーツ姿の男がダッフルコート姿の少女……キュルケ達が追いかけていた食い逃げ少女と、ベレー帽にマント姿の少女……クドラーフカ・ド・チセルに向き直る。 「査定に響くよ? うぐう君にわふう君」 「ご、ごめんなさい……」 「まさか助っ人が現れるなんて思ってなかったです……」 「助っ人が現れたの~?」 「はい……」 「なぜ対策を怠ったのかね?」 「それは……」 「今回の我々の任務は偉大なる三大臣様とルイズ様の願いを叶えるため。そしてその邪魔になるメイジ達の介入を防ぐ事だよね? これがいかに重要な事か、君達ならわかってると思ったんだけどなあ~?」 『そ、それはもちろ――』 「君達! 少し休みたまえ」 『え』 ――パチン! スーツ姿の男が指を鳴らすと、少女達の足元の床が開いて2人はまっさかさまに落下していった。 『落ちるの嫌~!!』 「落ちてしまえ」 翌朝。 「……ケガレシア」 「ルイズ、よく眠れたでおじゃるか?」 「……あのね、ケガレシア、驚かないでね」 「ルイズ?」 「あ、あたし……、求婚されちゃった……、ワルドに」 「なんと!? そうか、婚約者でおじゃったな」 「それはめでたい話なり」 しかしケガレシアは、めでたい話にもかかわらずルイズの表情が浮かないものである事を見逃さなかった。 「ルイズ?」 「そ、それでね……、結婚式する事になったのだけど……」 「うむ、実にめでたいぞよ、ルイズ! もちろん我々も参加するぞよ」 「ますますもってめでてえな! 日取りはいつだ? 俺も一芸ぐれえ披露しねえとな!」 「そ、それが……」 「今日さ。皇太子が媒酌人を務めてくださるのでね」 ルイズがゆっくり深呼吸して落ち着こうとしたところに、ワルドがやってきた。 「ほう、今日でおじゃるか。おめで……なぬ?」 「何?」 『何いいいいいいい!?』 前ページ次ページ炎神戦隊ゴーオンジャー BUNBUN!BANBAN!クロスオーBANG!!
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ラーメン荘 京都を中心とした関西圏を中心に展開する二郎系ラーメン店。 元を辿れば二郎に行き着くが、かなり遠縁に当たるため、亜流よりはインスパイア系として扱われる事が多い。 また現在は当初の屋号である「ラーメン荘」は創業者の西岡津世志から後継者に売却されており、西岡津世志が新たに創業したボストン本店の屋号である「夢を語れ」から始まるグループとは別法人。 ラーメン富士丸 西新井大師店で修業した店主が起業。店名は「夢を語れ」「歴史を刻め」「地球規模で考えろ」など、スケールが大きくて馬鹿馬鹿しいネーミングセンスが発揮されている。 現在は関西圏のみならず、アメリカはボストンにまで進出している。(正しくは上記の通り別法人・別グループ) さらに師匠筋に当たる富士丸やそのまた師匠筋の二郎が本拠とする東京にも進出しているが、この「ラーメン荘 夢を語れ Yume Wo Katare Tokyo」は京都一乗寺の本店からではなく、ボストン店からの暖簾分けによる逆輸入。(創業者の西岡氏が一乗寺の本店ではなくボストン店に移ったため) 一乗寺の本店に限って言えば麺は直系二郎とは異なり自家製麺ではなく、製麺業者から仕入れている。 他の店舗ではオーションを使った自家製麺をしているところもある。 出すラーメンは創業者の修行元であるラーメン富士丸よりは小奇麗だが、トッピングを追加すると中々にえげつなくなる。 2020年7月、歴史を刻め本店が40人ほどの食中毒(O-159由来)患者をだし、行政からの指導が入る。 原因は生の豚、醤油、飲用水からの混入および食中毒を罹患した状態で勤務し続けた社員、アルバイトとされている。 ただしあくまで予想の感染経路であるため対策を講じてはいるが効果があるとは一概に言い切れない。
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前ページ次ページ炎神戦隊ゴーオンジャー BUNBUN!BANBAN!クロスオーBANG!! 次回予告 「ガンパードだ。秘宝『ルサールカの鎧』を狙うフーケ。阻止はできるか」 「ヒロインといっても、1人ではないんでおじゃろう?」 「GP-08 奇襲ツチクレ ――GO ON!!」 モット伯邸を壊滅させ(シエスタを除いて)意気揚々と学院に帰還するルイズ達。 しかしもうすぐ学院が見えてくるという時、突然蛮ドーマ機内に警報が響いた。 「な、何!?」 「む、あそこは確か宝物庫!」 操縦するキタネイダスの言葉にルイズが宝物庫に視線を向けると、身長30メイル近い巨大な土人形が宝物庫の壁を殴りつけていた。 「ゴーレム!?」 急加速して蛮ドーマをゴーレムに接近させたルイズ達は、呆然としつつもその様子を見守っていた。 一撃で宝物庫の壁が崩壊し大穴が空いたかと思うと、ゴーレムの腕の上を人影のような何かが駆け抜け穴に飛び込んでいった。 「泥棒!?」 聞こえないはずのシエスタの言葉に反応したかのように、ゴーレムは蛮ドーマめがけパンチを放ってきた。 「くらうぞよ!」 蛮ドーマの砲撃でゴーレムの腕の一部が弾けたものの、即座にその傷が修復された。 「再生能力かよ……」 「少々分が悪いでおじゃるな……」 「ミス・ヴァリエール、相手が悪すぎます。ここは逃げましょう」 「蛮ドーマ、最大出力ぞよ!」 「駄目! それじゃ泥棒が逃げちゃう!」 「何言ってんだお嬢! あいつに勝てるわけねえだろうが!」 「メイジがいればそいつを狙えばいいが、中に入られては蛮ドーマの火力であいつの相手は無理ぞよ」 「キタネイダスの言葉通りなり。あの大きさから見て、トライアングルかスクウェアクラスのメイジなり。蛮ドーマでは勝算が無いなり!」 残念ながらヨゴシュタインの正論は仇になった。「トライアングルかスクウェア」の忠言は、ルイズの心を煽ってしまったのだ。 「トライアングルの土メイジって……、まさか『土くれのフーケ』?」 「そ、そうかもしれません……。そんな相手じゃ奇跡でも起きないと……」 「それならなおさら逃がすわけにはいかないわ!」 ――GP-08 奇襲ツチクレ―― 「相手に後ろを見せないのが貴族よ! 奇跡が起きなきゃ勝てないなら奇跡を起こして――」 「ルイズ」 そんなルイズの言葉を遮ったのは、それまで沈黙していたケガレシアだった。 「ギーシュとの決闘の時やさっきのモット伯邸での時、奇跡が起こったと思うでおじゃるか?」 「えっ……?」 「自分とわらわ達を誇ろうとするルイズのため、シエスタを助け出すため、わらわ達は一丸となったでおじゃる。そんな結束の結果でおじゃる」 脳裏に嬉々としてセンプウバンキを作ろうとしているキタネイダス達の姿、モット伯邸侵入の際巡回の衛兵を始末したデルフリンガー・イカリバンキの姿が浮かび、ルイズは思わず目を閉じた。 「ヒロインといっても、1人ではないんでおじゃろう?」 「……ケガレシア……。……わかったわ。起こらないから奇跡って言うのよね。だから全力を尽くすわよ」 「違うでおじゃる、ルイズ。奇跡は起こるでおじゃる。でも最高の奇跡は既に起きているでおじゃるよ」 「もう? 最高の奇跡が?」 「わらわ達がルイズに召喚されて使い魔になった。それが最高の奇跡でおじゃる! それ以上は……無いでおじゃるよ!」 「ええ!」 ルイズの言葉に満足げな笑みを浮かべケガレシアは頷いた。そして砲撃でゴーレムへの牽制を続けるキタネイダスに、 「キタネイダス、シエスタを安全な場所まで頼むでおじゃる。わらわ達はフーケとかいうあのゴーレムを使っているメイジを追うでおじゃる」 「任せるぞよ」 「ケガレシア、行くわよ!」 「無論でおじゃる!」 そう言い終えるが早いか、2人は蛮ドーマから飛び降りていった。 「こいつが『ルサールカの鎧』かい」 水晶にも似た透明で堅固な物質でできた箱の中から取り出した目的の物を抱え、フーケは呟いた。 全体的に薄い赤銅色、どこの家の家紋なのか随所に渦巻き模様の紋章らしき意匠が施された鎧。手甲には盾と一体化した騎槍が握られていて、兜の支えらしい青い仮面は左半分に亀裂が入り端整な容貌を不気味な雰囲気に変えている。 ワイバーンすら打ち倒す魔力とは、この鎧が装着者に与える魔力とはいったいどれほどなのだろうか。 (まあ、自分で使うよりは売った方が金になるだろうね) 長居は無用とばかりフーケは入ってきた穴に向かった。外からは轟音が聞こえてくる。追っ手の動きが予想以上に早かったようだ。 「土くれのフーケ!!」 「観念するでおじゃる」 穴から出たフーケの視線の先で大剣を手にした薄桃色の髪の少女と、鞭を構え銀色の部分鎧を纏った女性がゴーレムの腕の上に立ちはだかっていた。 即座に2人を排除するための計算を脳内で開始する。 (宝物庫の中に戻って本来の出入口から脱出する……こんな騒ぎになってたらすぐ見つかる。却下) (ゴーレムに腕を振らせて振り落とす……私も落ちるじゃないか。却下) (ゴーレムを土に戻して生き埋めにする……だから私も生き埋めだろ。却下……待てよ) その時、フーケの頭に却下しかけた作戦の改良案が閃いた。 即座に杖を振り、宝物庫の穴にかけているゴーレムの手首を石化させる。 「足場の確かさの差が戦力の決定的な差じゃない事を教えてあげるわ!」 「待つでおじゃる、ルイズ!」 ゴーレムの腕の上を駆けてフーケに迫ろうとするルイズだったが、 「目障りだ、埋まれ!」 その言葉と共に石化していた手首を除くゴーレム全体が土に還元された。ルイズは手首目指して咄嗟に跳躍したものの、わずかに及ばず腕を構成していた大量の土砂と共に落下していった。 「ああ! ちょっと、埋まっちゃったじゃない!」 2人の様子を地上から見上げていたキュルケは冷や汗をかいた。 これだけの騒動に彼女達が気付かなかったわけがない。魔法を使っても致命傷にならないならばフーケを狙うしかないと、シルフィードで上空を旋回していたのだ。 ゴーレムの手に立つフーケらしい人影が積極的にルイズ達を狙っているようなのでその隙に、と思った途端に土砂の大量落下だ。 ルイズ達が埋まったのを見て、フーケらしき人物は満足そうに頷き塔に開いた穴から飛び降りる。どうやらこのまま逃げるようだ。 「タバサ! 追いかけなきゃ!」 「……助けないと……」 「そうね……」 タバサの指差した場所に視線を向けると、校舎の3階部分に届こうかという土の小山が見える。先程フーケのゴーレムが土に戻った場所、ルイズ・ケガレシアが埋まっているだろう場所。 それを見てキュルケは額に手を当て溜め息を吐きつつ、恨めしげに逃走するフーケを睨みつける。 学院の外壁を飛び越えフーケは姿を消した。 『「ルサールカの鎧」、確かに領収いたしました。 土くれのフーケ』 夜も明けぬうちに、トリステイン魔法学院は蜂の巣をつついたような騒ぎになった。 何しろ宝物庫に納められた「ルサールカの鎧」が盗まれたのだ。それもゴーレムで壁を破壊するという大胆不敵な方法で。 口々好き勝手喚いて責任の擦り合いをしている教師達のもとに、ミス・ロングビルが近所の森をうろついていた不審者の情報を持ってきた。 「では捜索隊を結成する。我と思うものは杖を上げよ!」 オスマンの宣言に呼応するかのように1本の杖が上がり、それに2本の長い杖と1本の鞭が続く。 周囲の教師達の視線が4人の人物に注がれた。最初に杖を掲げたルイズ、そしてそれに続いたヨゴシュタイン・キタネイダス・ケガレシア。 「ミス・ヴァリエール、ミスタ・キタネイダス、ミス・ケガレシア、ミスタ・ヨゴシュタイン! あなた達は生徒とその使い魔ではありませんか! ここは教師に任せて……」 「その教師の誰が杖を掲げているんですか、ミセス・シュヴルーズ? そう言うのならあなたも同行しますか?」 「ふん、ヴァリエールには負けられませんわ」 「……心配……」 負けじと杖を掲げるキュルケを見てタバサも杖を掲げた。さらにギーシュも、 「僕にも手伝わせてもらおう、ミスタ・ヨゴシュタイン。僕も決闘以来修行を積んでいるのでね。足手まといにならない程度の力は付けたと自負しているよ」 オスマン・コルベールは不安を覚えた。 強力な炎メイジのキュルケ・シュヴァリエのタバサ・そして何より「蛮機獣」という強力なゴーレムを作り出せるルイズの使い魔達……。戦力としてだけなら楽勝とはいかないまでも不安はほとんど無い。 問題はそれ以外の部分……特にルイズの使い魔達だ。 コルベールは魔法に依存しないでマジックアイテム同様の効果を発揮する道具を開発する技術(ヒューマンワールドにおいて「科学技術」と呼ばれている技術)に大きな関心を持っている。 魔法に依存せずとも魔法と同じ力を得られれば、魔法を使えない多数の平民も魔法と同じ恩恵が得られると信じている。 しかしそれも魔法同様使い方次第の単なる「力」であり「道具」、悪用・暴走によって大きな悲劇をもたらすものだという事も知っている。 決闘の時3人が見せつけたのは、コルベールには求めてやまない異界の技術の暗黒面を見せつけられたように思えた。 (私の危惧が的中していたら、ミス・ヴァリエールは……) 自身の使い魔とそれを召還した自身の力に恐怖のあまり心を閉ざす、それは重大な問題だがまだ最悪ではない。 幼少の頃より魔法が使えない事に苦しんだだろうルイズが魔法によらない強大な力を得た事で、使い魔達と共に自分を苦しめてきた魔法と疎んじてきたメイジに復讐の牙を剥いたら……、 (私には彼女を止められるだろうか……?) 実時間にして1分足らずの間にコルベールはこの先一生分と言えるほども考え抜き、 「……私も行きましょう。大人達は子供を守る、それが私の子供の頃も私の両親が子供の頃も変わらない常識です。子供達に戦わせて大人が後ろで高見の見物と決め込むなど、あってはなりません」 「よし、決まりだ。討伐隊はこの8名。ミス・ロングビル、案内役を」 「はい」 「今すぐ出発と行きたいがこの闇夜では不利じゃろう。夜明け頃に到着するように出発は3時間後じゃな。……よいか! わしが許可するのは『ルサールカの鎧』の奪回だけじゃ。無謀な行動はするのではないぞ。そして皆、必ず生きて帰ってきてくれ」 『杖にかけて』 前ページ次ページ炎神戦隊ゴーオンジャー BUNBUN!BANBAN!クロスオーBANG!!
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前ページ炎神戦隊ゴーオンジャー BUNBUN!BANBAN!クロスオーBANG!! 「やったわね……」 「これでアルビオンも救われるでおじゃるな……」 大きく息を吐いて感慨深げに呟いたルイズ・ケガレシアだったが、 「のんびりしてる場合じゃねえぞ! 見ろ!」 デルフリンガーの言葉に、破壊されたステンドグラスから城外の様子を望む8人。 そこからは、多数の軍勢が城壁の防衛線を突破して彼女たちがいるこの城へと迫る様子がありありと見てとれた。 「あれは……」 「どうするぞよ?」 「皇太子!」 そこに慌てた様子でパリーが駆けてきた。 「ミスタ・パリー」 「皇太子は、皇太子はどちらに!?」 「ご安心ください、皇太子は既にアルビオンから脱出済みです。あとは私達が脱出するのみとなっています」 「なんと! それは有難い。これで我々も心残り無く決戦に臨む事ができるというものです」 「心残り無く……? まさかミスタ・パリー、奴らに突撃をかけるつもりなのですか?」 「もちろんです、ミス・ツェルプシュトー。皇太子の安全が確保された以上、我々に残された使命は叛徒どもに見事な死に様を見せる事のみ」 「……無茶……」 「ルイズ達の使い魔でさえ出撃すべきか迷うほどの数なのですよ!」 「「君みたいに小さな存在が犠牲になるなんて、そんな悲しいことしちゃいけない。そんなことさせないために、俺たちデカレンジャーはいるんだ。」」 ニューカッスル城内、結婚式の会場だった小さな教会。その空間は今重い空気に満たされていた。 カノンバンキの声:堀江由衣 ノミバンキの声:鈴田美夜子 ――トリステインゼミナール-2―― 「ボク達が行くよ!」 「行くですぅ!」 その声にルイズ達が振り返ると、壁に開いた大穴の前にカノンバンキ・ノミバンキが立っていた。顔はルイズ達に向いているものの、体は屋外に向けられていて今にも飛び出していかんばかりだ。 「危険なり! 数が多すぎるなり!」 「そうよ! 皇太子の安全も確保できたし、ここは一旦退くべきだわ!」 「ミス・ルイズの言う通りですな。交戦するのであれば、現状のままより準備万端の状態で迎撃すべきです」 ヨゴシュタイン・ルイズ・ヒラメキメデスが口々に説得を試みるも、2体の決意は固かった。 「もちろんそれくらいはボク達もわかってるよ。でもあいつらがこのままヨゴシュタイン様達を逃がしてくれるとは思えないんだ」 「それに今後ヨゴシュタイン様達がレコン・キスタと戦う事を考えたら、私達2体を残すよりもあの人達を叩き潰す方を選ぶべきですぅ」 「しかし、それはあまりにも無謀なり……。そのような危険な命令、下す事はできないなり!」 ヨゴシュタインの言葉にも、2体の目に宿る決意の光は鈍らない。 「ボク達、この作戦に……」 「……命を賭ける『覚悟』ありですぅ!!」 その覚悟と言葉の熱さについにヨゴシュタインも折れ、 「……わかったなり」 「それじゃ……、やってきます!」 「頑張ってくるですぅ!」 ヨゴシュタインの出撃承認を受け、そう言い残して最前線に向かって駆け出していくカノンバンキ・ノミバンキ。 それを見送るルイズは、どこか誇らしげな様子でキュルケ達に語りかける。 「お披露目よ、キュルケ」 「え?」 「ずっと疑問だったんでしょ? ケガレシア達ガイアークがいったい何者なのか。それを今から見せるわ」 そう言いつつ窓に歩み寄り開け放つ。 その外に広がる曇天の空の彼方から響くのは、ルイズ達にとって聴き慣れた荒々しいエンジン音。 思わずルイズへと視線を集中させる面々に、彼女は低く昏い怒りに満ちた声で言葉を吐く。 「誰に喧嘩を売ったか教えてあげるわ」 「砲撃位置に付きました。艦長、ご命令を」 「ふむ……。では王家の最後を華々しく飾り立ててやろうではないか。なあ」 (無駄口を叩いている暇があるならさっさと下命しろ) 口に出さずに若い貴族は艦長に対して侮蔑の言葉を吐き捨てた。 (一時的なお飾りの艦長とはいえ無能すぎだ) まともに言葉を交わすだけで苛立たされるため、若者は適当に返答すると地上の陣を見下ろす。 兵士達は警戒心を隠しきれないようだが、上層部は「人海戦術でどうにでもなる」と判断していた。念のための捨て駒として傭兵達を先行させたが、迎撃を受けたという報告は無い。 訝しむ若者の視界に「彼女達」が映り込んだのは、視線を城に移した時だった。 「あれは……」 それは2人の少女だった。 「何を考えてこの場に現れたかは知らないが、このまま攻撃してしまえば……」 だがその言葉を遮るかのように、2人の少女の体が変化していった。 そして彼と、2人に攻撃を仕掛けるべく先陣を切っていた軍勢達の目の前に、大地を汚す悪夢……害地目蛮機獣カノンバンキ・ノミバンキが出現した。 キュルケ達がバルコニーに到着したその時には、既に2体はレコン・キスタとの戦端を開こうとしていた。 轟音と共にカノンバンキの背中に設置されたカノン砲が、弾幕の如き砲撃を浴びせかけた。 次の瞬間、最前線から10メイル以上後方までの数十人もの貴族派兵士が一瞬にして紙切れのように吹き飛ばされる。 そして彼女が次に発射する砲弾を体内で製造する隙を突かせず、今度はノミバンキが攻勢に出る。 上半身を高速でフル回転させ八艘飛びを加えての連続斬撃、死体が五体満足な者は相当幸運という有様だ。 惨劇は地上だけに留まらない。 上空より接近するもカノンバンキ・ノミバンキによる虐殺を目にした竜騎士達が思わず降下の勢いを緩めたその瞬間、予想外の方向から奇襲攻撃を受けた。 それは蛮機獣達に気を取られているうちに接近を許した蛮ドーマ5機からの破壊光線。 ある竜は一瞬のうちに頭部を吹き飛ばされ墜落。また別の竜達は混乱状態のまま飛行した結果、騎手を振り落とした挙句に正面衝突。 ここでようやくレコン・キスタ達は、相手が底知れぬ実力を持つ存在と認識した。 しかしそれは遅すぎたのだ。 カノンバンキ・ノミバンキが城から十分な距離を取った事を確認して、ヒラメキメデスが声を上げる。 「バリアシステム起動!」 その言葉と同時に、5機の蛮ドーマからリング状の光線が発射された。 光線は見る間に重なり合って半球状の光のドームを形成、軍勢をその内部に閉じ込める。 「ワフーッ!」 それを確認したノミバンキは凄まじい速度で縦横無尽に大暴れし、ドーム内部のありとあらゆる物を細かく削っていく。 カノンバンキも砲撃こそ加えられないものの、砲身自体を鈍器として当たるを幸い兵士達を殴打する。 そしてついに機は熟した。 削られた物体の粉末で視界は最悪に近かったが、2体にはドーム内部全域で条件が整った事を悟った。 最早命は無いと覚悟し、それでも奇跡を信じて衝撃に耐える体勢を取る。 「ワフーッ!」 「ウグーッ!」 『リトルバクハーズ・エクスタシー!!』 カノンバンキの砲口から火花が散った瞬間、ドーム内部が眩い閃光に満たされて崩壊し、一瞬遅れて爆音が轟いた。 動くものの無い焦土の中、ゆらりと立ち上がる2つの人影。 「カノンバンキ! ノミバンキ!」 ふらつきつつも懸命にルイズ達に接近しようとする2体に、5人は全力疾走で駆け寄る。 そして2体は満足げな笑みを浮かべ、 「……ボクの事……、忘れてください……」 「……ヨゴシュタイン様……、るぶりゅー・てぃびゃー……」 と言い残してヨゴシュタインの胸に倒れ込んだ。 「………」 「………」 5人は何も言う事ができず、ただ息絶えた2体を静かに見つめるだけだった。 ワルドはかすれる意識の中、呼んだグリフォンに飛び乗りアルビオンから逃走していた。 かつてこれほどの屈辱は無かった。 「おのれ……、おのれヒラメキメデス……っ! 絶対に……くそ……、絶対に……絶対……決して……」 血がにじむほどに右手を握り締め、肘から先を失った左腕を爪で掻きむしりつつ、ワルドは憎悪の呪文を唱え続ける。 「ガイアーク……、ヒラメキメデスっ……!」 自らの内を満たす復讐心に怨敵の名を呟いた時、 「く……っ……」 そこでワルドもグリフォンも限界を迎えた。 地上に向かってふらふら降下を開始し、最後には半ば墜落同然に地面へ倒れ込んだ。 「………」 薄れ行く意識の中、最後にワルドが見たものは敵味方さえ判然としない2人の人影だった。 ――ガイアークゼミナール―― 『ガイアークゼミナール!!』 「ケガレシア達ガイアークはヒューマンワールドから来たのよね?」 「その通りでおじゃる」 「でもヒューマンワールドも今ケガレシア達に侵略されてるんだけど、どうなってるの?」 「なぬ!?」 「答えはCMの後です」 「実は次元は全部で11あるのですが、世界は11だけではないのです。11次元全体を1本の巨大な木に例えるならば、幹から11本の次元の枝が伸びていて、その枝の1本1本に無数の平行世界という葉が付いているようなものなのです。11の次元というのは、無数の世界を大雑把に11区分した分類だと思っていいでしょう。ですからこことは別のマジックワールドでは、ミス・ルイズがヨゴシュタイン様達ではない別の使い魔を召喚しているという事もありうるわけです。その使い魔の故郷はヒューマンワールドだけでなく、ハルケギニアと呼ばれているのとはまた別のマジックワールドからであるかもしれません」 「なるほど。つまりヒューマンワールドを侵略してるケガレシア達は、私に召喚されなかったヒューマンワールドにいるケガレシア達なのね」 蛮機獣カノンバンキ 【分類】害地目 【作製者】害地大臣ヨゴシュタイン 【作製モデル】カノン砲 【口癖】「ウグー」 【身長】171cm 【体重】192kg 「カノン砲」をモデルとして製造された女性型の蛮機獣です。 カノン砲とは巨大な砲弾を発射して敵を破壊・殺傷する砲台です。 カノンバンキは、体内が砲弾製造装置になっており、製造した砲弾を背中のカノン砲から発射する事ができます。 この能力で遠距離から敵を攻撃したり、連射による弾幕で相手の行動を妨害する事が可能です。 注)鯛焼きが大好物で時々食い逃げしますので、ご注意ください。 蛮機獣ノミバンキ 【分類】害地目 【作製者】害地大臣ヨゴシュタイン 【作製モデル】鑿 【口癖】「ワフー」 【身長】170cm 【体重】210kg 「鑿」をモデルとして製造された女性型の蛮機獣です。 鑿とは木材・石材・金属などに穴を穿ったり溝を刻んだりするのに用いる道具です。 ノミバンキは、左腕が強力な鑿になっています。 この鑿は、上半身を回転させながら相手を斬りつける「クドリャフカッター」や鑿から発射する破壊光線「くどどん波」等、多彩な攻撃に使用可能です。 注)英語が大の苦手で、英語で話そうとしても間違った内容や発音になってしまいます。 前ページ炎神戦隊ゴーオンジャー BUNBUN!BANBAN!クロスオーBANG!!
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前ページ次ページ炎神戦隊ゴーオンジャー BUNBUN!BANBAN!クロスオーBANG!! 次回予告 「バルカだよーん。ルイズ思いつめすぎちゃって空回り。それじゃワルド子爵にも相手にされないよ。気楽にいこうぜ、アミーゴ!」 「ルイズ、負けないで!」 「GP-16 子爵ノホンネ ――GO ON!!」 ウェールズ・ケガレシア達は、結婚式会場でルイズ達の登場を待っていた。 神父役・ウェールズがブリミル像前で静かに待っている。 ケガレシア達とキュルケ達は2つの長椅子に分かれて座っていた。 「このような晴れ舞台なのだから礼装を着ないかね?」 そう一同はウェールズに質問されたが全員やんわり断った。 戦争の準備で忙しいようでここにいるのはこの7人だけだ。ウェールズもこれが終わったらすぐに向かうという。 「ミス・ケガレシア」 「何でおじゃるか?」 「もう1つ貴女達に頼みたい事がある。……ラ・ヴァリエール嬢の事を頼んだ」 ウェールズがケガレシア達に授けたのは、自分には叶えられない願い。彼女達に自分と同じ思いはさせたくないと。 ――GP-16 子爵ノホンネ―― (……落ち着くのよ) 深呼吸しただけなのにルイズはかなり体力を消耗した気がした。 (……とにかく状況を確認しないと) まず早朝部屋を訪問してきたワルドに叩き起こされ、次に突然「今からウェールズ皇太子に君と僕の結婚式を~」と言われ、意味不明のまま朝食を食べていたらキュルケ達から「おめでとう」と言われ、城内の礼拝堂までワルドに強引に連れて行かれ、新婦の冠を頭に乗せられ、何が何だかわからないうちに制服の黒いマントを外され花嫁用の白いマントを羽織わされ……。 ……そしてブリミル像前で正装したウェールズの前でワルドの横に立たされて、現在に至っているというわけだった。 (……落ち着くのよ) 周囲を見渡すと、参列客としてキュルケ・タバサ・ギーシュ・ケガレシア・キタネイダスがいる。 キュルケ達はどうも今のこの状況に疑問を抱いていないらしく、吹っ飛ばしたくなってくる。 一方ケガレシア達はこんな状況での結婚式に不満こそ抱いていても、疑問は感じていないようだった。ただしその表情を見る限りこの式には何かしら裏があるのだろう。 (……ちょっと待って……、落ち着くのよ、ルイズ) 現時点での最優先事項は「現状把握」及び「対応策の検討」だ。 まず現状把握。 (もうすぐ結婚式……。新郎はワルド……、新婦は私……) この状況に対してどう対応するか。 (……どうしよう) 何もかも突然すぎて考えをまとめられないが、とにかく自分がワルドと結婚させられそうになっている事はわかる。 (ワルドと結婚……) 幼少時にはぼんやり幻想を抱いているだけで、単純な憧れと言ってよかった。しかしいざこうして結婚に踏み切らされると……。 (……ワルドと結婚) 少なくとも昔はワルドの事が好きだった。今も少なくとも嫌いにはなっていない。 (でも今すぐ結婚してもいいと思えるほどじゃないわ。一人前のメイジにもなってないし、今は自分1人の幸せよりもケガレシア達に協力して目的を達成する方を優先するべきよ。それにワルドに抱いている気持ちは結婚とは違う気がする。だから……) そんなこんなで式が始まってしまった。 扉が開き、魔法衛視隊の制服を纏い剣を帯びたワルド・枯れない花冠と純白のマント姿のルイズが入ってくる。 「では式を始める。新郎ジャン・ジャック・フランシス・ド・ワルド。汝は始祖ブリミルの名において、この者を敬い、愛し、そして妻とする事を誓いますか?」 「誓います」 「新婦ラ・ヴァリエール公爵三女、ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。汝は始祖ブリミルの名において、この者を敬い、愛し、そして夫とする事を誓いますか?」 「………」 「ルイズ?」 皇太子の言葉に続くはずの誓いの言葉をルイズは口にしなかった。 「ワルド、私あなたとは結婚できないわ」 「……緊張してるんだ! そうだろう、ルイズ! 君が僕との結婚を拒むわけがない!」 「ごめんなさい」 「世界だ! ルイズ、僕は世界を手に入れる! そのためには君が必要なんだ!」 「子爵、君はふられたのだ。潔く……」 突然訳のわからない事を口走ったワルドに、普段の余裕は見えなかった。ウェールズが伸ばした手をはねのけてルイズを睨みつけ、 「ルイズ! 君は始祖ブリミルにも劣らぬ優秀なメイジに成長するだろう! 君の才能が僕には必要なんだ!」 「子爵、今すぐラ・ヴァリエール嬢から手を離したまえ。さもなくば我が魔法の刃が君を切り裂く」 杖を抜いたウェールズの最後通告に、ようやくワルドはルイズから手を離す。 「こうまで僕が言っても駄目なのか! ルイズ! これほど僕が愛しているというのに!!」 「お前はルイズを愛していないでおじゃる!」 「お前が愛しているのはルイズの才能だけなり!」 「そのようなお前と結婚する者などいないぞよ!」 3人の言葉にワルドは顔をしかめ、 「くっ……! この旅で君の気持ちをつかむため随分努力したんだが、こうなってはしかたない! 目的の1つは諦めよう!」 「目的?」 首を傾げるルイズにワルドは人差し指を立てる。 「第1の目的はルイズ、君を手に入れる事! しかしこれは果たせないようだ! 第2の目的はルイズ、君のポケットに入っているアンリエッタの手紙!」 「貴様……、やはりレコン・キスタか……」 「第3の目的……! 貴様の命だ、ウェールズ!」 そう叫んで抜刀と同時に斬撃を浴びせるワルド。しかしウェールズは微動だにせず微笑すら浮かべその一撃を受ける。 「皇太子!?」 本来であれば致命傷を与えるに十分な威力を持って振り下ろされたワルドの剣は、ウェールズの肩口に直撃した瞬間鈍い金属音を立ててへし折れてしまった。 「何だと!?」 「ふふふ……、相変わらず計算がなっていないようですね、ワルド子爵? ……いえ、仮面のメイジとお呼びした方がよろしいですかな?」 ウェールズの姿がぐにゃりと歪み、先程までとは似ても似つかない異形へと変化した。 キュルケ達は見た事も無いその異様な姿に息を飲んだ。そしてワルドは苛立たしげに、ルイズは頼もしげにその男を呼ぶ。 「あの時の鉄仮面っ!」 「ヒラメキメデスっ!」 「申し訳ありませんね、ワルド子爵。ウェールズ皇太子は昨夜のうちに蛮ドーマSPによってアルビオンを脱出済みですよ。あなたの野望と命にはここで潰えていただきます」 鉄仮面……害地副大臣ヒラメキメデスは、余裕の笑みと共にワルドを挑発した。 「巻き添えをくわせるわけにはいかないから、ちょっと離れているでおじゃるよ」 ケガレシアのその言葉と共に、ケガレシア達3人はキュルケ達3人を後方に押す。 よろめいたキュルケ達を受け止めたのは1人の男と2人の少女達だった。 「君はあの時の……!」 「到着だよー」 「お待たせしましたー」 「ルイズ様、王女殿下からの任務は果たせましたか?」 天真爛漫な笑みを浮かべる食い逃げ少女とクドラーフカに、スーツ姿の男。 「一昨日食い逃げしてた……!」 「……クドラーフカ……」 「大丈夫、味方よ」 2人の少女と見知らぬ男を見て驚いたキュルケ達に、ルイズが笑みを浮かべて言い聞かせた。 「くっ、随分用意がいいじゃないか、ミスタ・ヒラメキメデス。物量作戦か? もっとも、その3人がどれほど使えるかは疑問だがね」 「使えますとも。あなたにも奥の手を出してもらいましょうか」 「なるほど、お見通しか。ユビキタス・デル・ウィンデ……」 ワルドの体がゆらめいた次の瞬間に次々分裂していき、本体を含め5人にまで増えた。 「言っておくが、1人1人が力や意思を持っている。つまり5人の私と戦っているのと同じだ!」 「それならやってもらいましょうか」 そう言うと同時に三角形の光弾を発射するヒラメキメデス。直線的な単発の攻撃を標的にされたワルドAは牽制以上の何物でもないと考え軽く回避したが、その考えは覆される。 食い逃げ少女・クドラーフカ・スーツの男が、床を蹴って残る4人のワルド達のうちの3人に飛びかかる。 「何!?」 突然の突撃に一瞬狼狽したワルド達だったが、冷静に襲われた3人が雷撃で迎撃する。 ――バチイッ!! 爆発音と共に全ての電撃が3人に直撃する。しかし負傷どころかひるんだ様子すらなくなおも3人は突っ込んでくる。 自分の攻撃を苦も無く乗り越えてきた3人の姿を見て、ワルド達はその理由を悟った。 3人はそれぞれ、砲台の基部を彷彿とさせる装甲を纏い背中に大砲を背負った少女・左腕が鋭く巨大な鑿と化している少女・両腕が注射針になっているハチじみた機械人間と、正体である蛮機獣の姿を露わにしていたのだ。 「ウグーッ、カノンバンキ!」 「ワフー、ノミバンキですう!」 「チュウシャバンキ!」 「流石だな」 状況は決してよくなかったものの、ワルド達は自分自身に余裕を見せるように笑った。 蛮機獣3体の突撃を受けかけている3人を回避させ、次の攻撃に移る。 (1発の電撃には耐えられても、5発の電撃ならどうだ?) ワルド達は、カノンバンキに狙いを集中して再度電撃の魔法を放った。さらに言うと、標的を集中させただけではなく可能な限り命中箇所も1点かつ同時になるように狙ってだ。 しかし蛮機獣達はまたしてもワルドの予想を上回った。 ワルド達が発射した電撃を回避したカノンバンキの後方に立つノミバンキが、左腕のノミを前方に向ける。 「くどどん波ですうーっ!!」 数日前に電撃1発で容易に相殺できた破壊光線は、たやすく5発の電撃を蹴散らしてワルドAに迫っていった。 そこでようやくワルド達は気付く。ラ・ロシェールでの攻撃は単に自分達の実力を測っていただけにすぎず、今回は本気だと。 しかし時既に遅し。破壊光線がワルドAの体を貫通する。 次の瞬間、ワルドAは断末魔の絶叫を上げつつ大気に還元されていった。 「残念、ハズレでしたか」 ヒラメキメデスが薄笑い混じりに告げた。 「くっ!」 ワルドが冷や汗を流しつつ杖を振り下ろそうとしたその時、 「ファイアーボール!」 ワルドBに後方にいたルイズのファイアーボールが炸裂してワルドBは爆発四散、残り3人。 しかし状況は決して楽観できるものではなかった。ワルドを倒すためには遍在を含め全員を倒さなければならない。 (カノンバンキさんが離れた場所にいれば、砲撃でまとめて倒せるのですが……) しかしそれを許すほどワルドが甘い相手ではない事は知っているし、ノミバンキにはその手札自体無い。 ……いや、彼女にはたった1枚だけそれを可能にする切り札となるカードが存在した。それ自体に効果は無くてもカノンバンキというカードと合わせる事で一発逆転の大技という手役になるカードが。 「ワフーッ!」 何を思ったか、突然ノミバンキはワルド達から離れ建物の床・壁・天井・調度品を無差別に削り始めた。 みるみるうちに殺風景になっていく室内が削られた物の成れの果てで煙っていく。 「今ですう!」 カノンバンキに叫ぶノミバンキ。 ノミバンキはカノンバンキに思いを託し、カノンバンキはノミバンキの思いに応えたかった。 その思いがカノンバンキに全てを悟らせた。 「ウグーッ! リトルバクハーズ!!」 カノンバンキの砲口から火花が散った瞬間、一面火炎地獄と化す。 粉塵爆発。ノミバンキのノミによって非常に細かい粉末となった建材が空気中に飛散する事で周囲に存在する豊富な酸素と相まって、燃焼反応に敏感な状態になってしまったのだ。 「ぎゃあああああー!!」 ワルドは思わず顔を押さえ魔法をかけて応急処置を行う。一方残る偏在は爆風に飲まれて全滅していた。 「貴様!」 しかしその時、カノンバンキは既にワルドの視界から消えて懐近く入り込んでいた。 「もう立ち上がらないでね……。約束……だよ……」 渾身の砲撃を零距離射撃でワルドに浴びせ、その体を木の葉のように屋外へと吹き飛ばした。 「終わったでおじゃるな……」 ケガレシアがそう呟いたその時、 「貴様ら、許さん!」 声が響いた。ワルドはまだ生きていた。顔も片目も鼻も焼けほぼ全部の四肢が折れてつい先刻の端正な容貌の青年と同一人物とは思えない面相になっていたが、それでもまだ生きていた。 流石はスクウェアメイジ・閃光のワルドといったところだろうか。 「しつこいでおじゃる!」 そう言って鞭を振るおうとしたケガレシアはワルドに接近してくる者の存在に気付き、ワルドは憤怒のあまり自分に接近してくる者の存在に気付かなかった。それが彼勝敗を分ける要因となった。 「でいやあっ!」 ステンドグラスを破って乱入したデルフリンガーが刀身状の鉤爪を一閃、ワルドの左腕は細切れにされた。 「遅いでおじゃるよ!」 そう言いつつもケガレシアの顔にはかすかな笑みが浮かんでいた。 前ページ次ページ炎神戦隊ゴーオンジャー BUNBUN!BANBAN!クロスオーBANG!!
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前ページ次ページ炎神戦隊ゴーオンジャー BUNBUN!BANBAN!クロスオーBANG!! 次回予告 「バルカだよーん。ワオ! シエスタが連れてかれちゃった! そんな時、新たなガイアーク・デルフリンガーが現れてもう大変! GP-07 女給(メイド)ダッカン ――GO ON!!」 翌朝、食堂に向かうルイズと洗濯場で別れる事にしたケガレシアだったが、見知った顔がいない事に訝しがる。 「そういえばあのメイド……シエスタといったでおじゃるか、遅いでおじゃるな」 「何か用事でもあるんじゃないの? ケガレシアこそ何か用事でも?」 「いや、数日前に渡した洗濯用の秘薬がそろそろ切れそうだと言っていたので、新しく作ったもっと強力な秘薬を渡そうと思っていたでおじゃるが……」 話しているうちに厨房前を通りかかったので、中を覗いてみる。 「突然すまないでおじゃる」 「ケガレシアが聞きたい事があるそうよ」 突然現れた2人にマルトーは驚愕の色を濃くした。 「シエスタが見当たらないでおじゃるが」 「シエスタは……、もういねえ」 それは腹の底から搾り出すような悔しさに溢れる声だった。 「先日王宮からの勅旨で来てた、モット伯って貴族に見初められて仕える事になってな。今朝早く迎えの馬車で行っちまった」 「その口調から察するに無理やりでおじゃるな」 「結局、平民は貴族の言いなりになるしかねえのさ」 「……気に入らぬでおじゃるな」 「……ケガレシア、宮殿に戻るわよ」 ――GP-07 女給(メイド)ダッカン―― 場所は変わってヘルガイユ宮殿。 「ケガレシアが世話になったシエスタという娘が、モット伯とやらに連れていかれたぞよ」 「何!? マジックワールドの貴族はろくでなしが多いなりか!?」 「そんな者、ルイズとデルフリンガー、そしてわらわが作り出した刺客で捻り潰してくれるわ」 苛立った表情のルイズに笑いかけて、ケガレシアはコンソールを操作する。 「あははははは……、生まれ出でるでおじゃる、わらわの可愛い子供よ!」 最後に大型のレバーを上げると、デルフリンガーの時よりは若干ささやかな放電が小部屋で発生した。その放電の中で人型の影が形成されていく。 ケガレシアが開いた扉から出てきたのは、金属板で額と左眼を覆い隠し錨を模した槍を軽々担いだ蛮機獣。 「アンカカカカッ! おい、身の程知らずの田舎もんがよお……。わかってんだろうなあ? このイカリバンキを楽しませろよ!」 不敵な笑みを浮かべるイカリバンキと憤懣やる方ないという表情のルイズにケガレシアは真剣な表情で、 「シエスタをろくでなしの好きにさせる事は絶対阻止するでおじゃる!」 月は沈んで星影も無し、闇が迫るモット伯邸。 ルイズ・デルフリンガー・イカリバンキを乗せた蛮ドーマが、ケガレシアの操縦で目視困難なほどの上空に迫っていた。 「敵数12、犬が8匹に衛兵4人でおじゃる。着地地点まで障害無し。ルイズ達が突入したら、混乱に乗じてウガッツ部隊による増援を送るでおじゃる」 「ありがとう。ここから先は私達で大丈夫だから下で準備してて」 そう言い終えるが早いか、3人は次々蛮ドーマから飛び降りていく。 瞳を憤怒に吊り上がらせて大剣形態のデルフリンガーを逆手に構え、衛兵の1人に狙いを定める。 「おい、今何か音しなか――」 「別にしねえよ。気のせいじゃねえのか? それでそいつがな……って聞いてんのか?」 衛兵が返事をしない相棒の方を振り向くと、そこには頭から股間まで大剣で串刺しにされた相棒の姿があった。 「な……?」 現実離れした光景に体が硬直した彼の前に、海賊を思わせる荒々しい男のようなゴーレム。 「俺と出会っちまったのが運のツキよ!」 「し、侵入――」 その言葉を最後まで言い終える事を、イカリバンキの鎖分銅は許さなかった。即座に首に巻きついて男の頚椎をへし折る。 時を同じくしてウガッツ部隊による急襲作戦が開始されたようで、表門方面が騒がしくなってきた。 そちらに向かう衛兵達をやり過ごし、3人は手近にあった勝手口から屋敷内に侵入した。 「よし、俺はウガッツと一緒に屋敷を荒らす。お前らはアネキに言われた真の目的ってやつを果たしな」 ルイズ・デルフリンガーによるシエスタ・モット伯捜索部隊は、ここでイカリバンキと別れる事にした。デルフリンガーは捜索のしやすさを考えて害魔機士形態となる。 「おい、誰かいるのか? 何ぼんやりしてんだ。早く外に行く準備を……!」 不運にも、ルイズ達の足音をまだ屋敷内に残っている仲間のそれと勘違いした衛兵が顔を出した。 ――ザン! デルフリンガーの右手から伸びた3本の刀身状の鉤爪が一閃、4枚におろされる衛兵。 「て、てめえ!」 室内から聞こえた怒声に反応し、ルイズは即座に適当な呪文を声のした方向にかける。 当然室内は爆発、ルイズはデルフリンガーにかばわれて無傷だったが室内では呻き声が響いていた。 「次行くわよ」 「おいお嬢、可愛い顔して随分えげつねえ事やるもんだなあ」 「ケガレシア達と同じよ。ケガレシア達は何か目的があってヒューマンワールドで苦しい戦いを続けてきた。私にもシエスタを助けたいっていう目的がある以上、私1人楽をするわけにはいかないのよ」 「目的……か。俺にはよくわからねえな。俺は剣、使い手に振るわれるのが仕事だったからな」 「でも今は違うわ。その意思とその力を私達のために役立てなさい」 「おうよ!」 仲間の大半を蹴散らされて敗走した衛兵を追うルイズは、やがて他の扉と一閃を隠す精緻な彫刻の施された両開き扉の前に来た。 衛兵達が曲がった分岐点の先の突き当たりに位置するこの扉以外、逃げ込める場所は無い。衛兵達がここに逃げ込んだのは確実で、おそらくはここがモット伯の私室だろう。 ありったけの力を込めて扉を押し開けるルイズ。 扉の向こうには見事な作りの杖を構えた1人の男がいた。その男がルイズ達へ向けて杖を突きつける。 「貴様らが侵入者か!」 「いかにも私達が侵入者よ」 ルイズ達は室内にゆっくり入っていく。 「俺の名は害魔機士デルフリンガー。そこの嬢ちゃんを返してもらうぜ」 「返してもらうとは人聞きの悪い物言いだ。決して拉致をしたわけではない。同意の元モット家の正式な使用人として雇い入れたのだからな」 「ああそうかい? まあどうでもいいぜ。どっちにしろ連れてく事に変わりは無えんだからな」 「下がってなさい、シエスタ」 ルイズがシエスタを下がらせた後、デルフリンガーがにやりと笑って鉤爪の1歩でした手招きがゴングとなり、戦いが始まった。 「私のふたつ名は『波涛』! 『波涛』のモット。トライアングルメイジだ」 次の瞬間、水が意思があるかのように舞い上がって高速でルイズ達めがけて飛来する。 「そんな水鉄砲、効くかよ!」 デルフリンガーがルイズ達を庇うように無造作に上げた手の鉤爪に水が当たると、途端に水の勢いが無くなりその場に落ちていった。 「こういう事もできる!」 声と共に床に落ちた水が次々と氷つぶてに変化する。 しかしデルフリンガーはその全部を鉤爪の1振りで粉砕した。 「へっ、これで終わりか?」 「な!? ば、馬鹿な……!! ならば!」 即座に杖を振って大波を発生させ、それを目くらましにして逃走を図るモット伯。 「くそっ、逃げんな!」 「待ちなさい!」 モット伯の作戦が図に当たった……かに見えたその時、 ――バサアッ! モット伯の足元をすくうように出現した網が、彼を吊るし上げて動きを封じた。 「アンカカカカッ! 油断すんじゃねえぞ!」 そう笑いつつ現れたのは、金目の物が入っていると思しき袋やら何やらを運ぶウガッツ達を指揮しているイカリバンキ。 「き、貴様! 私の財産を……!」 「知るか」 モット伯の怒声をその一言で切り捨て、イカリバンキは悠々とモット伯を吊り上げている網に近付いていく。 「お宝はあらかた頂いたし、最後の仕上げだな」 「な、何だそれは!?」 自分の目と鼻の先にぶら下げられた錨のような物にモット伯は困惑した。 「爆弾だ。しかもただ爆発するだけじゃねえ、中に仕込んであるヤバい廃油をそこら中に撒き散らかすって代物よ!」 「何だと! そんな事になったら私は……」 「骨になって見つかりゃツイてる方だな。ついでに言うとこいつを屋敷のあちこちに仕掛けといたぜ。命が惜しけりゃ爆発までに屋敷を抜け出しな」 「せいぜい頑張りなさい。……そろそろ引き上げるわよ、デルフ、イカリバンキ、シエスタ」 「おうよ!」 「ヤロードモ! 引き上げるぜ!」 「あ、は、はい……」 ルイズ・デルフリンガー・イカリバンキは意気揚々と、シエスタは戸惑いながら、ウガッツ達は機械的にモット伯邸を後にした。 「く、くそっ……、どこの誰かは知らんが、この私の屋敷に押し込みメイドと金目の物を奪った挙句私にこのようなまねを……。必ず後悔させてやるぞ……!」 何でできているのか、3桁の大台に届くかという回数の水撃を持ってしても網を構成しているロープは切れるどころかわずかな切れ目も入っていない。衛兵や使用人達は襲撃で全員やられたか逃げ出したかしたようで、声を張り上げてもまったく来る気配が無い。 唯一の希望といえば、水撃によりゴーレムが爆弾だと言った錨が全部水に浸かっている事。爆死は免れるだろうが、いつまでもこんな網の中に宙吊りにされているわけにいかない。 「くそっ! くそっ! くそっ! ……はあ、はあ……」 ひとしきり声を荒げて息を吐いたモット伯の耳に、信じられないような音が聞こえてきた。 ――チッチッチッチッ…… 今までさんざん聞いてきて焦りを誘ってきた忌まわしい時を刻む音。 「そ、そんな馬鹿な!? 水中でも爆発するというのか!?」 それがモット伯の辞世の句となった。 次の瞬間、すぐ下から放たれた激しい閃光にモット伯の意識は塗り潰された。 それとほぼ時を同じくして、モット伯邸内各所で同様の爆発が発生した。 しかも錨爆弾はただ爆発するだけにとどまらなかった。イカリバンキの言葉通り内蔵されていた廃油が爆発によって撒き散らされ、モット伯邸を床・壁・天井の区別無く溶解させていく。 さらにモット伯を吊り上げていた網に仕掛けられた錨爆弾の廃油が、溜まっていた水全部に混ざって一気に室外に溢れ出した。 モット伯邸は廃油自体の質量に押し潰されそれに耐えた物も化学反応で溶解し、5分とかからず完全に廃油の池と貸した。 「そういや、あいつ水属性のメイジなんだろ? 肝心な事言い忘れてたな。あの爆弾、綺麗な水の中で爆発すると威力が上がるんだった。アンカカカカカカッ!」 「あ、あの、ミス・ヴァリエール……」 帰路、蛮ドーマからモット伯邸の最後を見届けていたルイズに、シエスタがおずおず声をかけた。 「どうしたの、シエスタ」 「助けていただいて言うのも失礼なんですけど、こんな事して大丈夫なんですか? 貴族のお屋敷に……」 「シエスタ」 そう言ったシエスタの目をルイズは真剣な表情で見据えた。 「は、はい」 「私はモット伯が間違ってるとは言ってないわ。強い者が正しいというのも1つの真理。でも弱者を踏みにじる権利を持つ者は、自分以上の強者に踏み躙られる義務も負うの。殺されても文句は言えないわ、自分が同じ事をしたんだから」 「ミス・ヴァリエール……」 その時のルイズの瞳には何かしらの信念の芽が確かに存在した。 蛮機獣イカリバンキ 【分類】害水目 【作製者】害水大臣ケガレシア 【作製モデル】錨 【口癖】「アンカカカカッ」「ヤロードモー」 【身長】231cm 【体重】259kg 「錨」をモデルとして製造された蛮機獣です。 錨とは、船舶等を水上の一定範囲に留めておくために海底や湖底、川底へ沈めて使う道具です。 イカリバンキは、様々な錨型の武器を持っています。 直接攻撃に使う錨型の槍や鎖分銅、相手を捕獲する網の他、体内で作り出された廃油を錨爆弾の爆発で撒き散らす事によって、周囲の水を汚染する事が可能です。 注1)錨爆弾は綺麗な水の中で爆発すれば、化学反応によってより激しい爆発を起こす事のできる爆弾です。 注2)金銀財宝といったいわゆるお宝を好むため、時々海賊行為をさせましょう。 前ページ次ページ炎神戦隊ゴーオンジャー BUNBUN!BANBAN!クロスオーBANG!!
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前ページ次ページ炎神戦隊ゴーオンジャー BUNBUN!BANBAN!クロスオーBANG!! 次回予告 「拙者キャリゲーター。船旅に美男子、いいでござるなー。ぬお! この恐ろしげな御仁は? ルイズ、しゃっきりするゲーター。 GP-14 推参プリンス ――GO ON!!」 「とりあえず今日のところはこんなものね」 「あとはアルビオンに着いてからでおじゃるな」 ケガレシア達との打ち合わせ(実質的にはヒラメキメデス・マチルダとの顔合わせ)を終えたルイズ達が「女神の杵」亭に戻ったところ……、 「何なのよあんた達!?」 「殺っちまえ!」 「………」 「往生際が悪いぜ、嬢ちゃんよお?」 「こいつっ!」 「やるじゃねえか!」 「チンピラのわりに連携が取れているな……」 「てめえら人間じゃねえ、たたっ斬ってやる!」 ……キュルケ・タバサ・ギーシュ・ワルドvs傭兵の修羅場と化していた。 ――GP-14 推参プリンス―― 「何でこんな事になったのか聞くのは後にした方がいいわね……」 「そうしてくれるとありがたいな……どうだ!」 ルイズの言葉に答えつつも傭兵を切り伏せる手を休めないワルド。 「まとめて蹴散らしてやるでおじゃる! チュウシャバンキ!」 「ブーンビー!」 ケガレシアの呼び声に答え、両腕が鋭い針の付いた注射針になっているハチと人間を合成したような蛮機獣が壁を突き破って出現する。 「注射爆弾!」 腕から巨大な注射器を飛ばし、それを爆発させるチュウシャバンキ。 「笑い注射!」 口から連射した注射器に仕込まれた毒液で、傭兵達を笑い転げさせて呼吸困難で苦しめるチュウシャバンキ。 「注射ニードルカーニバル!」 大の字になって空中回転しながら急降下、腕の注射針で急所を突き刺すチュウシャバンキ。 『うわーだめだー』 瞬く間に大半が戦闘不能となって傭兵達は敗走していった。 「見たでおじゃるか! チュウシャバンキの力を!」 「ブーンビー!」 翌朝、アルビオン行き客船・マリー=セレスト号甲板にワルド達の姿があった。 「な、何でえ、おめえら!?」 「船長はいるか」 「まだ寝てるぜ。用があるならもうちょっと待つんだな」 ワルドは解答代わりに杖を抜き、 「貴族に2度同じ事を言わせるな。船長を呼ぶんだ」 「き、貴族!」 慌てて船内に駆け込んだ船員は、しばらくして初老の男を連れて戻ってきた。どうやら彼が船長のようだ。 「何のご用ですかな?」 やってきたワルドに、船長は胡散臭げな視線を送った。 「女王陛下のグリフォン隊、隊長のワルド子爵だ」 「これはこれは。して当船へどういったご用向きで……?」 相手の身分を知った船長は突然相好を崩した。 「アルビオンに今すぐ出航してもらおう」 「そんな無茶な!」 「無茶でもよい」 「あなた方がアルビオンに行く理由など知った事じゃありませんが、明後日の朝にならないと出航できませんよ!」 「なぜだ?」 「アルビオンとラ・ロシェールが再接近するのは明後日の昼。早くても明後日の夜明け後に出航しなけりゃ、風石が足りませんや」 ワルド・船長のやり取りを聞いていたケガレシアが、ルイズにそっと尋ねる。 「風石とは何でおじゃるか?」 「風の魔法力を蓄えた石よ。それで空船は宙に浮かぶの」 2人がワルド達に向き直ると、船長が思案顔のワルドにさらにたたみかけていた。 「子爵様、当船が積んだ風石はアルビオンへの最短距離分しかありません。それ以上積んだら足が出ちまいますゆえ。したがって今出航したら途中で海の藻屑でさあ」 「風石が足りない分は僕が力を貸す。僕は風のスクウェアだ」 船長・船員は顔を見合わせていたが、やがて船長はワルドに向かって頷いた。 「ならば結構で。そのかわり料金は弾んでもらいますが……」 「積荷は」 「硫黄で。アルビオンでは今や黄金並みの値段がつきますんで」 「全てと同額出そう」 商談は成立、船長が矢継ぎ早に命令を下し始める。 「出港だ! もやいを放て! 帆を打て!」 風を受けた帆と羽がが張り詰めて船が動き出す。 「アルビオンにはいつ着く?」 「明日の昼過ぎには、スカボローの港に到着しまさあ」 「明日の昼……」 ルイズが緊張した表情になる。 「船長の話では、ニューカッスル付近の王党派軍は包囲されて苦戦中のようだ」 「ウェールズ皇太子は?」 「わからん。生きてはいるようだが……」 「その様子では、港は全部反乱軍の手に落ちたと思っていいでおじゃるな」 「……たぶんそう……」 「どうやって王党派と連絡を取ったものかしらね?」 「敵中突破しかあるまいな。スカボロー港からニューカッスルまで馬なら1日だ」 「貴族派反乱軍の間をすり抜けるつもりですか?」 ギーシュの質問にワルドは肩をすくめ、 「そうだ。それしかないだろう。まあ反乱軍も公然とトリステインの貴族に手出しはできんだろう」 「包囲網を突破してニューカッスルの陣に向かうのでおじゃるな」 「夜の闇には注意しないとね」 ルイズは緊張の表情で続けた。 「あ、あの……」 その時、キュルケ達に1人の少女がおずおず話しかけてきた。ベレー帽を被りマントを羽織った幼い容貌の少女だ。 「どうしたの?」 「あの、皆さんもアルビオンに行くですか?」 「……そうだけど……あなたは……」 「あ、私はクドラーフカ・ド・チセルというです。大事なお仕事でアルビオンに行くですよ」 「へえ、そうなのか。チセル男爵には前に会った事があるけれど、君のような可愛い娘がいるなんて知らなかったな」 ルイズ達の緊張とは裏腹に、キュルケ達は旅の道連れとなった少女・クドラーフカと楽しい一夜を過ごしたのだった。 「右舷情報の雲中より船が接近してきます!」 翌朝、下半分を純白の雲に隠されたアルビオン島が視界に入ったところで、甲板に船員の切羽詰った叫び声が響いた。 後方甲板でワルドと共に操船を指揮していた船長は、見張りの声に右上方を見上げた。 「アルビオン貴族派か? お前達のために荷を運んでいる船だと教えてやれ」 見張り員は船長の指示通り手旗信号を送ったがやがて、 「あの船は旗を掲げておりません!」 「してみると、く、空賊か?」 「間違いありません! 内乱の混乱に乗じて活動が活発になっていると聞き及びますから……」 「今すぐ逃走だ! 取り舵いっぱい! 全速前進!!」 緊急事態を告げる鐘が打ち鳴らされ、船内にいた船員達も慌てて飛び出す。 船長はマリー=セレスト号を空賊船から遠ざけようと命令を下すが時既に遅し。併走する空賊船が進路を妨害するように威嚇砲撃を開始する。 その直後、マストに4色の旗が掲げられた。 「『停船しなければ攻撃する』か……」 「私はこの船を浮かべるだけで精一杯だし、彼女達も一昨日少々派手に立ち回ったせいでこれほどの人数とやりあえるほど本調子じゃない。ここはあの船に従うしかない」 「これで破産だな……」 観念したようで船長は停船命令を出した。 空賊船はマリー=セレスト号に横付けすると鉤付ロープを渡して次々こちらに乗り込んできた。 日焼けして粗野な雰囲気を隠そうともしない男達が大声を張り上げる。 「おめえら抵抗すんじゃねえぜ! 逆らってみろ、すぐさま首を切り飛ばしてやらあ!」 弓やフリントロック銃で武装した空賊達が手馴れた様子で抵抗する船員を拘束していく。 キュルケ・ギーシュが思わず魔法を使おうとした時、ケガレシア・ワルドに制止された。 「やめたまえ。いくら平民といえど、あれだけの数を相手に消耗した状態で戦うのは無謀だ」 「それに奴らの船の大砲がこの船を狙っているでおじゃるよ。……今はとにかくチャンスを待つべきでおじゃる」 抵抗する者がいなくなったところで、空賊の頭目らしい両腰に3本ずつ鞘を帯びた眼帯の男が乗り込んできた。眼帯の男は乗り込むや否や船長を出すように命令する。 「ほう、てめえがCaptainか。船のNameと積荷を答えろ。嘘を吐いたらいい事ねえぜ」 「……トリステインの『マリー=セレスト号』……、積荷は硫黄……」 直刀で頬を撫でられ、震える足を押さえながら何とか立っている船長は正直に白状した。 積荷が硫黄と聞いて空族達は割れんばかりの歓声を上げる。 「All俺達が買ってやる。料金はてめえらのLifeだがな」 船長が崩れ落ちるのを確認したところで、空賊の頭目はルイズ達の中にいるケガレシアに気付いた。値踏みするかのように下卑た笑みを顔に貼り付けると悠然とした足取りで接近する。 「ほほう、こいつは随分Beautifulだな」 そう言って触ろうとした時、 「清らか? 美しい? それはガイアークにとって死に勝る屈辱でおじゃる!」 ケガレシアが鞭の一撃で頭目を叩きのめした。頭目は船縁から落下しかけるもどうにか体勢を立て直す。 「筆頭!」 「俺達なめられてますぜ!」 筆頭が一撃を浴びて空賊達は一斉に殺気立った。 そんなケガレシアに、ルイズ・デルフリンガーもにやりと笑みを見せて戦闘体勢を取る。 「ちょっ……、何やってんのよ、ルイズ!」 「……正気なの……」 「考えてみたら、空賊なんかに好き勝手されて黙ってるってのは趣味じゃないのよね。王党派について反乱軍相手にする前のひと暴れよ、ケガレシア」 「確かにわらわ達が反乱軍を叩き潰してしまえばいい事でおじゃるな。ついでに空賊退治といくでおじゃる」 「いくぜえっ!」 ルイズ達の異様なまでの余裕に気圧される空賊達だったが、1人冷静な筆頭が左眼だけを動かして3人を睨む。 「King側につく?」 「ええ、そうよ」 「もう1度聞くが本当にKing側か? トリステインのAristocratが今時のアルビオンに来て、King側の援軍だってのか? 何しに行くんだ?」 「あんたらに言う事じゃないわ」 「Aristocrat側につく気は無えか? あいつらはMageを欲しがってる。たんまりMoneyも弾んでくれるぜ」 「死んでも嫌よ」 「もう1度言うぜ。Aristocrat側につく気は無えか?」 「つかぬと言ったはずでおじゃる」 毅然とした表情のルイズが口を開くより早くケガレシアが続けた。 「てめえは何もんだ?」 「わらわはルイズが使い魔の1人、ケガレシアでおじゃる」 「使い魔?」 「その通りでおじゃる」 ケガレシアの答えに筆頭は笑い声を上げる。 「トリステインのAristocratは気ばかり強くってどうしようもねえな。まあ、どっかの国の恥知らずどもよりはずっとBetterだがな」 すると周囲の空賊達が一斉に直立した。 「失礼した。貴族に名乗らせるならこちらから名乗らなくてはね」 青い兜を脱いで眼帯を外す。その下から出現したのは凛々しい金髪の青年の顔だった。 「私はアルビオン王立空軍大将、本国艦隊司令長官……。本国艦隊と言っても既にこの『イーグル号』しか存在しない無力な艦隊だがね。まあ、その肩書きよりこちらの方が通りがいいだろう」 若者は居住まいを正して威風堂々とした雰囲気で名乗る。 「アルビオン王国皇太子、ウェールズ・テューダーだ。アルビオン王国へようこそ、大使殿。さて、ご用の向きを伺おうか」 「つまりわらわ達は試されていたという事でおじゃるな、王子」 「いや、大使殿にはまことに失礼を致した。しかしながら、君達が王党派という事がなかなか信じられなくてね。外国に我々の味方の貴族がいるなどとは夢にも思わなかった。君達を試すような真似をしてすまない」 「アンリエッタ姫殿下より、密書を預かってまいりました」 ルイズは優雅に一礼して言った。 「ふむ、姫殿下とな。君は?」 「姫殿下より大使の大任を受けました、ヴァリエール家三女ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールでございます」 そしてルイズはケガレシア達をウェールズに紹介する。 「そしてこちらが私が最も頼りにしている使い魔の1人、蛮機族ガイアークの害水大臣・ケガレシアにございます、殿下」 「なるほど! 君のように立派な貴族が私の親衛隊にあと10人ばかりいたらこのような惨めな今日を迎える事も無かったろうに! して、その密書とやらは?」 胸ポケットからアンリエッタからの手紙を取り出そうとしたルイズだったが、ふと動きを止める。 「何だね?」 「失礼ですが、本当に皇太子様ですか?」 「まあ、さっきまでの顔を見れば無理も無い。僕はウェールズだよ。正真正銘の皇太子さ。何なら証拠をお見せしよう」 ウェールズは笑いつつ、ルイズに自分の薬指に光る指輪を外して渡した。 指輪のルビーがルイズの指に嵌っていた水のルビーと共鳴、虹色に輝いた。 「この指輪はアルビオン王家に伝わる風のルビーだ。君がはめているのはアンリエッタがはめていた水のルビーだ。そうだね? 水と風は虹を作る。王家の間にかかる虹さ」 「大変失礼をば致しました」 ルイズは一礼をして手紙をウェールズに渡した。 ウェールズは愛おしそうに手紙を見つめて花押に接吻したが、読み始めると表情に曇りが出た。 そして顔を上げ真剣な眼差しで、 「姫は結婚するのか? あの愛らしいアンリエッタが。私の可愛い……従妹は」 ルイズが無言で一礼すると、ウェールズは再び視線を手紙に戻した。 そして読み終わると微笑んで、 「了解した。姫はあの手紙を返してほしいとこの私に告げている。何より大切な姫から貰った手紙だが姫の望みは私の望みだ。そのようにしよう。しかしながら今手元には無い。ニューカッスルの城にあるんだ。姫の手紙を空賊船に連れてくるわけにはいかぬのでね。多少面倒だが、ニューカッスルまで足労願いたい」 蛮機獣チュウシャバンキ 【分類】害水目 【作製者】害水大臣ケガレシア 【作製モデル】注射器 【口癖】「ブーンビー!」 【身長】211cm 【体重】216kg 「注射器」をモデルとして製造された蛮機獣です。 注射器とは液体や気体を注入・吸引するために用いられる道具です。 チュウシャバンキは両腕が強力な注射器になっています。 腕の注射器を操作する事で液体爆弾や笑い薬等様々な液体で攻撃できるほか、注射針そのものを武器とする事も可能です。 注)飛行能力を持っていますが本人が忘れがちなので、いざという時に備えて時々思い出させましょう。 前ページ次ページ炎神戦隊ゴーオンジャー BUNBUN!BANBAN!クロスオーBANG!!